演題

胃癌原発の髄膜癌腫症に対する髄腔内化学療法が症状緩和に有用であった1例

[演者] 藤森 大輔:1
[著者] 能登 正浩:1, 金本 斐子:1, 石井 要:1, 竹田 利弥:1, 谷 卓:1, 八木 雅夫:1, 二見 一也:2, 丹羽 秀樹:2, 小野 賢二郎:3
1:公立松任石川中央病院 消化器外科, 2:公立松任石川中央病院, 3:金沢大学附属病院

【緒言】髄膜癌腫症は固形癌の5%に発症するとされ,著しく予後不良であり,生存期間は未治療で約4~6週間とされる.今回我々は,髄膜癌腫症と診断し,髄腔内化学療法施行により症状緩和・予後延長に有用であった1例を経験したので報告する.
【症例】60代男性.胃癌に対し腹腔鏡下幽門側胃切除術を行った.術後病理診断は,Type0-IIc(67×54㎜) tub2>por pT3(SS)ly2 v2 pN2pM0 pStageⅢAであり,術後補助化学療法としてSP療法(S1:80mg/body/day,CDDP:60mg/m2)を2コース,S1療法(80mg/body/day 4投2休)を6ヶ月施行した.術後1年のPET-CTにて多発リンパ節転移,多発骨転移指摘され,docetaxel(70mg/m2)療法を3コース施行した.効果判定のPET-CTにて,リンパ節転移,骨転移病変へのFDGの集積は全て消失した.その後外来にてfollowされていたが,術後13か月目に食事摂取困難となるような激しい頭痛を認め緊急入院となった.各種画像検査にて特記すべき異常所見認めず,非定型頭痛として対処療法を行っていた.しかし,症状は改善せず,軽度の意識障害や眼球運動障害など神経学的異常所見を伴う事より,髄膜癌腫症が疑われ,入院6日後に髄液検査を施行した.その結果,髄腔内圧が40cmH2Oと高値であり,髄液細胞診にて,切除した胃癌の組織像と類似したadenocarcinomaの所見を認め,胃癌による癌性髄膜症と診断された.本人・家族が積極的治療を希望されたため,当院倫理委員会の承認のもと,Methotrexate 5mg十cytosine arabinoside(Ara-C) 20mg+ prednisolone 20mgを1回量とした髄腔内化学療法を行う方針とした..初回の投与から2日後に頭痛症状の改善を認め,頭痛とともに認めていた眼球運動障害も徐々に改善を認め,ADLの向上も得られた.髄腔内化学療法に関して,重篤な副作用出現もなく計8コース施行したが,Methotrexateの蓄積量を考慮しこれ以降の髄腔内投与は施行しなかった.その後,徐々に全身状態悪化し,髄膜癌腫症発症から4ヶ月後,術後17か月後に原病死した.
【考察】本疾患は,早期診断により適切に治療介入できれば,患者のQOLの向上と生命予後の改善が期待できる.髄腔内化学療法は緩和治療の手段として考慮されるべき治療法であると考えられた
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