演題

胃癌に対する幽門側胃切除術Billroth-I法再建後の残胃形態分類の試み

[演者] 貝田 佐知子:1
[著者] 山口 剛:1, 村田 聡:1, 竹林 克士:1, 大竹 玲子:1, 三宅 亨:1, 飯田 洋也:1, 園田 寛道:1, 清水 智治:1, 谷 眞至:1
1:滋賀医科大学医学部 外科学講座消化器外科乳腺・一般外科

【目的】胃切除術後の残胃形態の分類にはいくつかの報告があるが容積に関するものが多く,残胃の形態で分類した研究はなされていない.今回,我々は幽門側胃切除術後Billroth-I法(以下B-I)再建後の残胃の形態に着目して2群に分類し,形態が術後合併症や術後1年間の栄養状態に与える影響を検討した.
【方法】幽門側胃切除B-I再建を施行後7日以内に経口造影検査を施行し,立位正面で最初に一口造影剤を摂取したときに造影剤が残胃内から吻合部,十二指腸にかけて一度も停滞することなく流れるものを非停滞群,造影剤が一度残胃内に停滞してから流れるものを停滞群として分類し,術後合併症および術後1年までの栄養状態を比較検討した.術後栄養状態の評価は外来での体重測定結果および採血結果により評価を行った.体重減少率は(術前体重-術後体重)/術前体重x100(%)とし,術後1ヶ月,3ヶ月,6ヶ月,1年の時点での体重をもとに算出した.
【対象】2006年5月より2014年10月までに胃癌と診断され根治手術として幽門側胃切除術B-I再建を施行された症例195例.このうち透視検査が施行できなかった症例8例,術後1年以上フォローできなかった症例34例,術後胃内停滞症例3例は除外した.
【結果】全症例150例中の各群の患者の内訳は非停滞群/85例(57%),停滞群/65例(43%)であった.性別,年齢,pStage,開腹or腹腔鏡下手術などの患者背景では二群間に有意差を認めなかった.術後合併症のうち縫合不全は9例(6%)に認め,このうち8例は非停滞群であり,1例が停滞群であり,有意に非停滞群が多い結果となった(P=0.044).体重減少率では非停滞群は術後1年間体重が減少し続ける傾向にあったが(7.7-8.8-9.9-11.0%),停滞群は術後半年から1年の間に下がり止まる傾向にあった(7.5-9.3-9.8-9.6%)ものの有意差は認めなかった(P=0.09).採血上の栄養指標(アルブミン,コリンエステラーゼ,総コレステロールなど)の各種項目はいずれも差を認めなかった.
【考察】残胃内に造影剤が停滞する群で縫合不全が有意に少なかった.残胃の大きさと術後の栄養状態との関連性を示唆する報告は散見されたが,今回の検討では残胃の形態で栄養状態を予測することは困難であると考えられた.
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