演題

びまん性胃粘膜下異所腺を併存した早期胃癌の臨床病理学的検討

[演者] 毛利 康一:1
[著者] 湯浅 典博:1, 竹内 英司:1, 後藤 康友:1, 三宅 秀夫:1, 永井 英雅:1, 吉岡 裕一郎:1, 奥野 正隆:1, 宮田 完志:1
1:名古屋第一赤十字病院 一般消化器外科

はじめに:びまん性胃粘膜下異所腺(gastritis cystic profunda,以下GCP)は,胃粘膜固有層にあるべき胃腺組織を粘膜下層に認めるもので,胃癌を合併する頻度が高いと報告されてきた.今回,我々はGCPを併存した早期胃癌5例の臨床病理学的特徴を明らかにするため検討を行った.
症例:[症例1]63歳男性.上部消化管内視鏡(以下GIS)で胃前庭部に中央の陥凹した不整な周堤様隆起を認め,3型進行胃癌と診断し幽門側胃切除を施行した.病理組織学的に癌は粘膜内に留まっていたが粘膜下層にGCPを認めた.[症例2]66歳男性.GISで幽門前庭部に不整な陥凹性病変を認め,2型進行胃癌と術前診断し幽門側胃切除を施行した.深達度はmで,GCPを伴っていた.[症例3]77歳男性.十二指腸潰瘍で幽門側胃切除,BillrothⅡ法再建の既往があった.GISでは胃空腸吻合部に発赤を伴う隆起性病変を認め12か月GISでフォローアップされ,生検で腺癌と診断されため残胃全摘を行った.深達度はmで,隆起はGCPによるものであった.[症例4]74歳男性.GISで胃に3か所の不整な陥凹を認め,生検で3病変とも腺癌と診断されたため,それぞれESDが行われたが,1か所の病変でsm2, ly(+)であったため,胃全摘を行った.ESDが施行された3つの部位の粘膜下層にGCPを認めた.[症例5]73歳男性.GISで食道に潰瘍浸潤型病変と胃体部に2つの胃粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認め,超音波内視鏡検査では第3層に多房性嚢胞の集簇を認めた.食道癌と診断し,食道亜全摘術,胃管再建を施行した.胃の摘出標本を全割して検討すると,胃体上部にびまん性にGCPを認め,その表層上皮に3か所の粘膜内癌を認めた.5例の特徴をまとめると,GCPは全例で胃癌の下層に存在し,多発癌は2例で,2例は術前に進行癌と診断されていた.
結論:GCPの術前診断はしばしば困難ではあるが,GCPに併存した早期胃癌は隆起が強調されて進行癌と誤診されることがある.また多発癌が多いことがあり注意が必要である.
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