演題

PD05-8

IPMN切除後の残膵全摘症例よりみた国際診療ガイドラインの妥当性の検討

[演者] 瀧川 穣:1
[著者] 北郷 実:2, 松井 淳一:1
1:東京歯科大学市川総合病院 外科, 2:慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科

【緒言】膵IPMNは同時性,異時性多発の問題があり,切除後の残膵に二次性病変発症のリスクを有している.2012年のIPMN国際診療ガイドラインでは,切除後に断端陽性や残存IPMN病変なければ2年と5年での経過観察,あれば半年毎にMRCPを,もしくは浸潤性膵管癌(PDAC)発症を考慮し半年毎のCTかMRCPでの経過観察が推奨されている.しかしIPMN術後の残膵の追跡,診断,さらには残膵切除に関するevidenceは乏しく,ガイドラインの妥当性は不明確である.【目的】膵IPMN切除後残膵二次性病変の追跡,診断,残膵切除の適応について本邦の現状を示し,国際診療ガイドラインの妥当性を検討する.【方法】第41回日本膵切研究会の病変・切除に関する全国調査で,91施設(回収率61.9%)の2009-2013年の膵切除総数15,777例中212例(1.3%)の残膵切除例が集計された.そのうち初回IPMN切除後二次性病変に対し残膵全摘施行した75例を解析した.【結果】初回膵切除術後91施設中70施設(77%)で術後3-4ヶ月毎にCTとMRIを中心とした2種類の画像検査で残膵追跡され,83施設(91%)で5年以上追跡されていた.75例の年齢中央値は72 歳(54-88),男:女47:28,初回病理はnon-invasive IPMN(IPMA)41例,invasive IPMN(IPMC)34例.初回術式は頭側切除28例(37%),尾側47例(63%)であった.二次性病変はIPMA24例(32%),IPMC35例(47%),PDAC13例(17%)で,初回同様の病変を発症する異時性多発の性質とPDAC発症のpotentialが示された.初回切除から残膵全摘までの期間は中央値38ヶ月(1-179).初回残膵に断端陽性やIPMNが遺残した症例は28例(37%)で,遺残の有無による二次性病変の病理に相違を認めず,残膵全摘までの期間も有意差を認めなかった(30ヶ月vs. 39ヶ月).残膵全摘のmorbidityは24%, mortality 1.3%であった. 【結語】本邦ではIPMN術後の残膵は詳細,短間隔,かつ長期にわたり追跡され,至適時期に二次性病変を発見,積極的な残膵全摘術が行われていた.断端やIPMN遺残の有無に係わらず,残膵には比較的早期にIPMN病変と一定の率でのPDACが発症するpotentialを有していることが示され,ガイドラインでの膵切除後における断端別や半年毎のMRI中心の経過観察法についての妥当性に疑問が呈された.本邦膵臓外科の残膵追跡で発見された二次性病変切除例の集積により,更なるevidenceの構築が求められる.
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