演題

当院におけるEBウイルス関連胃癌の臨床病理学的検討

[演者] 中山 裕史:1
[著者] 稲垣 公太:1, 長谷川 裕高:1, 田嶋 久子:1, 森 憲彦:1, 加藤 公一:1, 片岡 政人:1, 竹田 伸:1, 近藤 建:1
1:名古屋医療センター 外科

緒言:EBウイルスは,1964年にEpsteinらによって発見され,人の腫瘍から同定された初めてのウイルスとして注目され,近年,胃癌との関連性が注目されている.その発がんメカニズムは不明な点が多いが,クローン性増殖を示す前の段階で感染が成立していると考えられている.EBウイルス関連胃癌は,1)男性に多い,2) 胃体上部から中部に好発,3)残胃に発生する割合が多い,4)多発傾向がある,5)リンパ節転移の頻度が少ない,6) 予後がよい,などの特異的な特徴を有する.当院におけるEBウイルス関連胃癌の臨床病理学的特徴を検討したので報告する.対象・方法 2012年から当院で胃癌手術を施行されたうち,EBER-ISHで陽性となり,EBウイルス関連胃癌と診断された9例の臨床病理学的因子を調べ,その特徴を上記の6つの項目を中心にretrospectiveに検討した.結果 平均年齢62才,男女比6:3,すべて新生癌で,残胃癌はなかった.早期胃がんが3例,進行がんが7例で,肉眼型は,早期癌では2例で0-Ⅱc,進行がんでは2型が5例,1型が1例で,粘膜下腫瘍様の発育型をとる傾向があった.占拠部位は,Mが6例,Uが2例,Lが1例であった.術前生検での組織型は,"tub (5例)"か,もしくは,"por (4例)"で診断されていた.術前組織診でEBER-ISHを調べていた症例は,2例のみであった(いずれも陽性)が,HE染色でも,間質へのリンパ球の浸潤が著明など,ほとんどの症例で,EBウイルス関連を示唆する所見は指摘でき,手術にあたっては,その可能性を考慮して治療にあたるべきであると考えられた.切除標本の病理組織型は,"tub2<>por1"の混合型が8例と多く,1例で"sig"が混在する症例も認め,生検診断との乖離が見られたが,これは,表層では分化型で深部にいくにつれて分化度が低くなる傾向があるためと考えらえた.リンパ節転移は2例のみであったが脈管侵襲(ly 6例,v 5例)は6例で認めた.多発癌は1例で2重癌あり,衝突癌の形態をとっていた.いずれもEBER-ISH陽性で,EVウイルスの発がんとの関連性を示唆するものであった.重複癌については,2例で肺癌,1例で膀胱癌の合併を認め,肺癌とEBウイルスの関連性も示唆された.考察 EBウイルス関連胃癌に特化した治療は,の現時点では明らかでないが,今後の分子病理学的な研究により臨床的な意義が明らかになってくると思われる.その生物学的悪性度や縮小手術の検討など,さらなる症例の蓄積とエビデンスの構築が課題である.
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