演題

胃癌治癒切除症例における癌の浸潤増殖様式の臨床病理学的意義

[演者] 中村 健司:1
[著者] 富奥 美藤:1, 鍋島 一仁:1, 野村 栄治:2, 中郡 聡夫:1, 貞廣 莊太郎:1, 小澤 壯治:1
1:東海大学医学部 消化器外科学, 2:東海大学付属八王子病院 外科

『目的』胃癌取扱い規約では,癌の浸潤増殖様式(INF)が定義されており,INFa,INFb,INFcに分類されている.しかし,胃癌の予後や再発におけるINFの役割に関して検討した報告は少ない.今回,胃癌治癒切除症例においてINFの臨床病理学的意義について検討した.『対象と方法』2008年1月から2015年12月までの期間に治癒切除術が施行されたStageⅠB~ⅢC胃癌310例を対象とした.平均年齢:67歳,男性224例,女性:86例であった.取扱い規約に従い,INFa:膨張性発育,INFb:aとcの中間,INFc:浸潤性増殖とした.それぞれ12例,177例,121例であった.INFaが少数であったため,今回の検討ではINFa,bとINFcを臨床病理学的に比較した.『結果』(1)INFcはINFa,bと比較して,有意に年齢が低い,女性が多い,占拠部位ではM領域が多い,肉眼型では浸潤型が多い,組織型では未分化型が多い,深達度ではT4が多い,間質量では硬性型が多いという特徴が認められた.(2)累積5年生存率はINFa,b:64.7%,INFc:68.3%で有意差を認めなかった.StageⅠB,Ⅱ,Ⅲのそれぞれで5年生存率を比較したが,2群間に有意差を認めなかった.再発率はINFa,b:26.1%,INFc:28.9%であった.再発形式別ではリンパ節再発の頻度はINFa,b:12.7%,INFc:9.1%であった.腹膜再発ではINFa,b:7.9%,INFc:18.2%で有意差を認めた.肝再発ではINFa,b:12.2%,INFc:5.0%で有意差を認めた.(3)腹膜再発における危険因子を検討すると,単変量解析にて有意差を認めた因子は性別,肉眼型,腫瘍径,組織型,深達度,INF,リンパ節転移程度であった.多変量解析では,深達度:T4と組織型:未分化型が独立した危険因子であった.(4)肝再発における危険因子を検討すると,単変量解析にて有意差を認めた因子は腫瘍径,深達度,INF,リンパ管侵襲,静脈侵襲であった.多変量解析では,深達度:T4とINF:a,bが独立した危険因子であった.『結語』治癒切除術が施行された胃癌症例において,INFa,bは肝転移再発の有意な危険因子であった.よってINFは再発形式を予測する因子となる可能性が示唆された.
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