演題

当院の胃癌手術術中迅速診断と永久標本診断不一致例の検討

[演者] 山田 兼史:1
[著者] 長峯 理子:2, 福田 精二:2, 永末 裕友:1, 田中 栄治:1, 木村 有:1, 林 亨治:1, 横溝 博:1, 平田 稔彦:1
1:熊本赤十字病院 外科, 2:熊本赤十字病院 病理診断科

【背景】術中迅速診断は腹膜播種の確認や腫瘍辺縁から十分な断端距離が取れず断端陰性を確認する場合に施行する.迅速診断が永久標本診断で覆ることは,手術を受ける患者に対し過大侵襲を加え,予後の悪化にもつながりかねない.当院の胃癌症例術中迅速診断の精度を検証した.【対象】2011年1月-2016年10月までにバイパス術を含め胃癌の診断で550例に手術を行い,そのうち迅速診断を行った130例(23.6%)について検討した.【結果】130例中6例(4.6%)に診断の不一致を認め,いずれもporもしくはsigの組織型を含んでいた.2例が播種結節診断によるもので,4例が断端診断によるものであった.播種の1例は偽陽性となったが,臨床的に播種と判断し化学療法を行い,のちの経過で胃癌播種を確認した.もう1例が偽陰性で幽門側胃切除術が施行された.断端診断の4例は全て偽陰性で,後日,2例が残胃全摘,1例が吻合部追加切除を施行した.残る1例は病理所見や術後内視鏡所見から切除できたと考え経過観察を行い,術後23か月無再発の状況である.断端診断不一致の原因として,提出した検体不良が1例,折れ返りが2例認められた.【考察】これまでの報告では迅速診断の不一致率は約1- 3.5%とされている.今回,迅速診断が困難であった理由として,por, sigを含む組織像の診断自体が難しいこと,また凍結切片の作成が難しく,標本によれ,穴あき,折れ返り,脂肪断面の薄切困難など,検体の劣化が考えられた.病理医と不一致となった原因を見直し,迅速診断時は,術前診断の組織型を確認し,por, sigの播種確認の際はPAS染色を追加するようにした.切除断端評価に際し,標本の質を向上させるために凍結標本作成法の変更,食道断端はドーナツ状の組織を2ブロック以上の柵状にして鏡検することとした.これらの結果,2015年2月以降胃癌術中迅速診断の不一致は経験していない.【結論】当院の術中迅速診断の精度はこれまでの報告と同程度と思われたが,診断に際して病理医と術前診断情報の共有,凍結標本の質の向上が不一致例の減少につながると思われた.
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