演題

胃癌根治術における切除断端陽性症例の特徴と長期予後,および術中迅速組織診実施についての検討

[演者] 安川 佳美:1
[著者] 山下 裕玄:1, 三ツ井 崇司:1, 八木 浩一:1, 愛甲 丞:1, 西田 正人:1, 野村 幸世:1, 瀬戸 泰之:1
1:東京大学附属病院 胃・食道外科

胃癌に対する根治的な胃切除術において,切除断端が組織学的に陽性となる症例がある.切除断端の術中迅速組織診も一般的に行われているが,判断基準は標準化されているとは言えない.【方法】2006~2016年に当院で胃切除術を施行された胃癌患者のうち,口側または肛門側の切除断端が陽性であった42例を後方視的に評価した.同期間に,術中迅速診断で断端陽性の報告を受け,切除断端の追加切除を実施しR0手術となった14例についてもあわせて評価した.【結果】永久組織診で切除断端陽性となった42例は,平均年齢65.8歳(38-90歳)で男性34例,女性8例.実施術式は胃全摘と残胃全摘が27例(64%)を占め,次いで幽門側胃切除11例(26%),噴門側胃切除3例(7%),幽門保存胃切除1例(2%)であった.肉眼型はtype3/type4が18/16例と多くを占め,次いでtype5 3例,0-Ⅱc 3例,その他2例であった.組織型は未分化型(por,sig,muc)が32例(76%)を占め,深達度はpT2/3/4a/4b:2/11/23/6,脈管侵襲は ly0/1-3:4/38, v0/1-3:9/33であった.長期予後は術後治療の有無で差がみられた.術後RFS中央値/術後OS中央値は追加切除群4例で27.5ヶ月/50.5ヶ月,化学療法群26例で16.0ヶ月/16.8ヶ月であり,経過観察群12例の10.0ヶ月/5.4ヶ月に比し良好であった.迅速診で断端陽性となり,同一手術中の追加切除の結果,断端陰性を得られた14例ではRFS中央値21.0ヶ月,OS中央値27.0ヶ月であった.【考察】切除断端陽性症例の特徴として,肉眼型type3またはtype4,未分化型の組織型,深達度T4a以深,脈管侵襲(ly,v)陽性等が挙げられ,多くが高度進行癌であるため,予後不良な集団であった.またそういった患者の術後生存期間は,追加切除で断端陰性となった症例を含めても十分とは言えない結果であり,術前化学療法を含めた集学的治療を検討すべき対象であると考えられた.
詳細検索