演題

真性胃癌肉腫の1例

[演者] 徳田 和憲:1
[著者] 堀内 淳:1, 明比 俊:1, 延原 研二:1, 酒井 堅:1
1:愛媛県立新居浜病院 外科

癌肉腫は同一腫瘍内に上皮性悪性腫瘍である癌と間葉系悪性腫瘍である肉腫が混在する腫瘍である.子宮,卵巣,膀胱,肺,食道などの臓器に発生するものが比較的多いが,胃に発生することは極めてまれである.今回,我々は胃原発の癌肉腫を経験したので,病理組織学的所見を中心に報告する.症例は82歳の男性で,元々心筋梗塞,閉塞性動脈硬化症にて当院循環器内科通院中であった.定期受診の際,Hb 6台と貧血を認めたため,貧血精査目的に上部消化管内視鏡検査施行したところ,胃体中部小彎に1型腫瘍を認めた.生検の結果,未分化癌もしくは肉腫の診断にて,胃全摘,リンパ節郭清D2,胆摘,Roux-en-Y再建を施行した.腫瘍は,80×80mmの1型腫瘍で,病理組織学的に,胃癌肉腫 pT3N2M0 StageⅢBの診断であった.上皮成分(30%)と非上皮成分(70%)の混在で,上皮成分は大部分が管状腺癌であったが,充実性で角化を伴う扁平上皮成分が混在していた.また,非上皮成分では,核異型と異常分裂が散見され,大部分が未分化な形態で,一部に好酸性の細胞質を有する横紋筋分化が認められ,desmin陽性であった.癌肉腫は組織学的に,「真性癌肉腫」と「いわゆる癌肉腫」に分類されるが,本症例は,非上皮成分に横紋筋が存在しており,真性癌肉腫と考えられ,さらに,上皮成分では,腺癌に加え,扁平上皮成分も認めた.本邦での真性胃癌肉腫の報告は,本症例を含めて17例で,横紋筋分化を伴うものに限れば11例のみである.さらに,上皮成分に扁平上皮成分を含む報告は,調べられた限りでは無く,本症例が初めてである.胃癌肉腫の治療については,外科的切除が長期予後を期待できる唯一の方法とされ,早期発見が重要と考えられる.化学療法や放射線療法については,症例数も少なく,有効性は確立していない.予後は非常に悪く,診断後の平均生存期間は約5か月との報告もある.本症例もリンパ節転移陽性で,予後不良が予想されるため,今後厳重なfollowが必要と考えられる.
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