演題

腹腔鏡下大腸癌術後臍小切開創における腹壁瘢痕ヘルニアの検討

[演者] 久保 博一:1
[著者] 渡部 顕:1, 関戸 仁:1, 松田 悟郎:1, 武田 和永:1, 清水 哲也:1, 坂本 里紗:1, 山本 悠史:1, 豊田 純哉:1
1:横浜医療センター 消化器外科

【背景】腹腔鏡下大腸癌術後の長期合併症の一つとして腹壁瘢痕ヘルニア(IH: incisional hernia)があげられる.創が小さく整容面で優れた腹腔鏡下手術において,IHの発生は大きな問題となりうる.既存の報告ではIHの発生率は1年で5.2%であり,危険因子は性別,年齢,糖尿病や閉塞性肺疾患等の既往歴,喫煙歴,ステロイド使用歴,SSIの発生等さまざまであるが,未だ一定の見解は得られていない.
【目的】腹腔鏡下大腸癌切除術後における臍小切開創のIH発生率,およびその発生危険因子について検討する.
【対象・方法】2015年4月から2016年7月までに大腸癌に対して腹腔鏡下大腸切除術を施行した症例のうち,評価が可能であった91例を対象とした.IHの診断はCTを用いて診断し,皮下脂肪の厚さについては臍の高さでCTを用いて計測した.手術方法は5 portを原則とし,臍部よりカメラポートを留置して臍ポート創を延長し小開腹創とした.臍部小切開創の閉創は腹膜・筋鞘を長期間吸収型の吸収糸による結節縫合,表皮を真皮埋没縫合とした.
【結果】年齢の中央値は73歳(39-90歳),性別は男性53例,女性38例であった.観察期間の中央値は13ヶ月であり,IHは全観察期間では5例に認め,1年発生率は5.7%であった.単変量解析では,性別,BMI,術前Alb,Cre,Hb,糖尿病,術前補助化学療法の有無,手術時間,出血量,創長,皮下脂肪の厚さ,術後補助化学療法の有無,SSI発生率に有意差を認めなかった.一方で,IH発生群では年齢が高い傾向を認めた(p=0.078).
【結語】当院における腹腔鏡下大腸癌切除術後の臍小切開部のIHの発生率は既存の報告と大きく変わりない結果であった.今後さらなる症例の集積を行い,危険因子の検討を行うとともに,発生率を低減させる閉創法の確立が必要であると考えられた.
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