演題

原発性大腸癌術後における術後イレウスの発生率と危険因子の検討

[演者] 森 治樹:1
[著者] 清水 智治:1, 園田 寛道:1, 三宅 亨:1, 植木 智之:1, 山口 剛:1, 貝田 佐知子:1, 飯田 洋也:1, 谷 眞至:1
1:滋賀医科大学附属病院 消化器外科

【背景・目的】術後イレウス(Postoperative ileus 以下POI)は手術における合併症の一つであり,患者の入院期間の長期化,費用の増大,他の術後合併症発生率の増加に関連する.今回当院で経験し,原発性大腸癌術後に発生したPOIの発生率と危険因子を明らかにすることを目的とした.
【方法】2011年1月から2016年8月までに当院で手術施行した原発性大腸癌421例を対象とし,POI有り(POI群),POI無し(非POI群)の2群に分けた.POIは排便・排ガスの停止および腹部膨満や嘔気等の臨床症状に加えて,腹部単純レントゲン写真で小腸拡張または鏡面像を認めた時点でPOIと診断し,JCOG術後合併症規準(Clavien-Dindo分類 以下CD分類)に従いGradingを行った.後方視的にPOIの発生率および危険因子を患者背景,手術成績,周術期管理について比較検討した.
【結果】POIは58人(13.7%)に発症した.POI群と非POI群を比較して,経口摂取再開(11.1日vs 4.4日,p <0.001),術後在院期間(23.9日vs 15.1日,p <0.001)で有意差を認めた.両群の背景因子を比較すると,年齢,BMI,ASA-PS,術前腫瘍マーカー,術前血清アルブミン値,腫瘍占拠部位(結腸・直腸),開腹歴の有無では有意差を認めなかったが,性別はPOI群で有意に男性が多かった(p=0.004).手術因子ではPOI群で手術時間は有意に長く(347分vs 289分,p=0.008),術式(開腹/腹腔鏡)では開腹手術が有意に多かった(p=0.004)が,出血量,リンパ節郭清度(D3/D2以下)は有意差を認めなかった.周術期因子としてドレーン留置期間は有意差を認めなかったが,術後の自己調整鎮痛法(Patient Controlled Analgesia以下PCA)の有無ではPCA使用率がPOI群で有意に多かった(58.6% vs 30.5%,p <0.001).多変量解析の結果,男性,手術時間,開腹手術,PCA使用はPOIの独立した危険因子であった.
【結論】原発性大腸癌術後におけるPOI発生の危険因子は男性,手術時間,開腹手術,PCA使用であった.PCA使用に関しては投与期間,使用薬量について今後検討の余地があると考えられた.
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