演題

PD05-6

IPMNの術前診断における3つの国際ガイドラインの比較と縮小手術の適応について

[演者] 木村 健二郎:1
[著者] 天野 良亮:1, 山添 定明:1, 大平 豪:1, 西尾 康平:1, 亀谷 直樹:1, 渋谷 雅常:1, 豊川 貴弘:1, 平川 弘聖:1, 大平 雅一:1
1:大阪市立大学大学院 腫瘍外科学

背景と目的)IPMNのガイドラインとしては,2012年版IPMN国際診療ガイドライン(ICG2012)が普及しているが,2013年のEuropean experts consensus statement(ECS2013)と2015年のAGAガイドライン(AGA2015)も存在し,切除適応は微妙に異なる.本邦ではEUS-FNAを積極的適応としておらず,悪性化診断を画像診断と膵液細胞診のみで診断できることが望まれる.今回,切除例をもとに,各ガイドラインの悪性化(Mal-IPMN)および浸潤癌(Inv-IPMN)の診断能を比較検討し,縮小手術の適応について考察した.
対象と方法)2016年8月までに当科にて切除したIPMN123例を対象とした.切除例における各ガイドラインで推奨される手術適応の適格性と切除標本の病理診断より診断能を算出した.ICG2012は,worrisome features(WF)のみ満たす症例とhigh risk stigmata(HRS)の症例に分類した.尚,high grade dysplasia以上の異型度を悪性とした.
結果)切除例123例中,Mal-IPMNは53例(43.1%), Inv-IPMNは34例(27.6%)であった.CISを含めたhigh risk stigmata以下の異型度にはリンパ節転移や再発例は認めず,一方,Inv-IPMNの8例(23.5%)のリンパ節転移陽性と15例(44.1%)の再発例を認めた.各基準の適格症例はICG2012のWFが105例(85%),HRSが57例(46%),ECS2013適格症例が107例(87%),AGA2015が71例(58%)であった.各基準のMal-IPMN診断能(感度:特異度:正診率,%)は,WFが96.2:22.8:54.5,HRSが79.2:78.6:78.9,ECS2013が96.2:20:52.8,AGA2015が69.8:51.4:59.3であった.また,Inv-IPMN診断能は,WFが100:20.2:42.3,HRSが94.1:71.9:78.0,ECS2013が97.1:16.9:39.0,AGA2015が79.4:50.6:58.5であった.
結論)ICG2012のHRSが,IPMNの悪性化および浸潤癌の診断能に最も優れていた.HRSの高いInv-IPMN診断能を考慮すると,HRS症例に対しては,parenchyma-sparing pancreatectomyやリンパ節郭清を省略した腹腔鏡手術などの縮小手術は,避けるべきと考えられた.
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