演題

S状結腸憩室穿孔性腹膜炎に対するHartmann術後に人工肛門造設部で宿便性イレウスを発症した1例

[演者] 名倉 慎人:1
[著者] 川原 洋平:1, 経田 淳:1, 角谷 直孝:1
1:富山労災病院 外科

【症例】74歳, 女性. 【主訴】腹痛, 嘔吐, 便秘. 【既往歴】約2年前にS状結腸憩室炎穿孔性腹膜炎でHartmann術を施行された. その後も憩室出血で入退院を繰り返していた. 【現病歴】3日前に普通便の排出あり, その後は排便を認めなかった. 前日の夕方より腹痛, 嘔気が出現し, その後嘔吐を認め, 当日昼に救急外受診となった. 【身体所見】体温 37.2度, 心拍数 111 回/分, 血圧 131/95 mmHg, 腹部は著明に膨満し, 全体に圧痛あり. 筋性防御なし. ストーマ診では硬便を触知するが, 狭窄は認めなかった. 【検査所見】血液検査:WBC 14200 /μL, 好中球 88.8 %, Hb 12.9 g/dL, Plt 27.5 x10⁴ /μL, LDH 255 U/L, CK 65 U/L, CRP 0.6 mg/dL. 腹部CT検査:人工肛門口に宿便を認め, 口側結腸は著明に拡張し便塊の貯留を認めた. 【入院後経過】人工肛門部宿便性イレウスとして同日入院とした. 入院後も排便は認めず. 入院3日目に腹部CT検査を施行したところ, 結腸の拡張はさらに増悪し, 一部壁内や腸間膜内にガス像を認め, 肝表に少量腹水が出現した. 血液検査ではCRP 16.4 mg/dLと悪化を認め, イレウスに伴う腹膜炎と考え, 入院4日目に手術を施行した. 開腹所見では, 高度な癒着もあり, 全腸管の観察はできなかったが, 明らかな穿孔は認めなかった. 結腸部分切除術と, 横行結腸人工肛門再造設術を施行した. 下行結腸授動の際に, 腸管穿孔をきたし腹腔内汚染されたため, 大量の生食で洗浄し終了した. 術後に39度の発熱を認め, CT検査で左横隔膜下に腹腔内膿瘍を認めたが, 保存的加療により軽快した. CT検査で偶然に右上肺野に肺癌を認めたため, 術後61日目に呼吸器内科に転科となった. 病理結果はイレウス像で, 憩室や悪性所見は認めず, 宿便性イレウスと診断した. 【考察】人工肛門造設後の晩期合併症は稀なものではなく, 頻度の高いものでストーマ脱出, 傍ストーマヘルニアやストーマ狭窄などが挙げられるが, 宿便性イレウスの報告は少ない. 今回我々は宿便性イレウスに伴う腹膜炎を経験し, 若干の文献的考察を交え報告する.
詳細検索