演題

腹腔鏡下結腸癌手術後の消化管運動に影響を与える因子は?:放射線不透過マーカーを用いた客観的評価

[演者] 岡本 浩和:1
[著者] 横山 康行:1, 山田 岳史:1, 小泉 岐博:1, 進士 誠一:1, 高橋 吾郎:1, 岩井 拓磨:1, 武田 幸樹:1, 原 敬介:1, 内田 英二:1
1:日本医科大学付属病院 消化器外科

【背景】腹腔鏡下手術の低侵襲性によるメリットが数多く報告されているが,その一つとして術後早期の経口摂取再開が挙げられる.経口摂取再開には腸管運動の回復が必要と考えるが,我々は今までに,放射線不透過マーカーであるSITZ MARKS®(SM)を用いて消化管運動能を客観的に評価し,腹腔鏡下手術は消化管運動の早期回復に寄与することだけでなく,polyethylene glycol (PEG)による腸管前処置は消化管運動の回復を遅らせることも報告してきた.しかしながら,腹腔鏡下手術を行うも,経口摂取の開始が遅延する場合があり,その原因は明らかになっていない.今回,腹腔鏡下手術例の消化管運動能に影響を与える因子について検討した.
【方法】対象は2009年1月から2014年12月までに待機的腹腔鏡下手術を行った結腸癌症例のうち,PEGによる腸管前処置を行わなかった症例.閉塞性大腸癌症例,ストマ造設例,複数の吻合を要した症例,他臓器合併切除例,術後ICU管理となった症例を除外した.執刀2時間前にSMを内服させ,術後に腹部X線撮影を行い,術後3日目に小腸内にSMが残存していない症例を早期回復例と定義した.年齢,性,腫瘍部位(右側結腸または左側結腸),進行度,手術時間,術中in-outバランス,併存疾患の有無のうち術後消化管運動能に影響を与える因子を多変量解析(二項ロジスティック回帰分析)にて抽出した.
【結果】対象は195例で,早期回復例は108例(55.4%)であった.多変量解析で術後消化管運動能に影響を与えた因子として抽出されたのは,術中in-outバランスが10 ml/kg/h以上(P=0.03,オッズ比:0.51,CI:0.26-0.95),併存疾患あり(P=0.03,オッズ比:0.28,CI:0.08-0.92)であった.
【結語】腹腔鏡下手術において,術中in-outバランスを適正に保つことが,消化管運動能の早期回復に重要である.併存疾患を有する患者の術後管理については今後さらなる検討が必要である.
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