演題

PD05-5

膵IPMNにおける浸潤癌予測因子の同定-国際ガイドラインとの比較-

[演者] 廣野 誠子:1
[著者] 川井 学:1, 岡田 健一:1, 宮澤 基樹:1, 清水 敦史:1, 北畑 裕司:1, 上野 昌樹:1, 速水 晋也:1, 柳澤 昭夫:2, 山上 裕機:1
1:和歌山県立医科大学医学部 外科学第二教室, 2:京都府立医科大学医学部 人体病理学

【目的】2012年国際ガイドラインにおけるmalignant IPMNの定義は,high-grade dysplasia (HGD)は含まれず,invasive intraductal papillary mucinous carcinoma (IPMC)のみである.しかしながら,invasive IPMC予測因子の報告は少なく,今回われわれは,invasive IPMCの予測因子ならびに至適術式の検討を行った.
【方法】1999年7月~2015年12月までに外科的切除したIPMN症例286例を対象とした.分枝型(109例),混合型(114例),主膵管型(63例)に分類し,invasive IPMCとnoninvasive IPMN (low-, intermediate-grade dysplasia and HGD)症例の臨床因子を比較した.
【結果】Invasive IPMC症例96例のうち35例(37%)にリンパ節転移を認め,うち1例は浸潤長が5mm以下のT1a症例であった.分枝型IPMNの独立したinvasive IPMC予測因子は,壁在結節径高値のみ(P=0.01, odds ration [OR]; 1.99)で,混合型IPMNの独立予測因子は,女性(P=0.014, OR; 0.16), 血清CA19-9高値(P=0.009, OR; 29.41), 壁在結節径高値(P=0.042, OR; 1.18), 膵液CEA高値(P=0.011, OR; 1.00)の4因子,主膵管型の独立予測因子は,壁在結節径高値(P=0.010, OR; 1.44)と膵液CEA高値(P=0.048, OR; 1.00) の2因子であった.ROC curveを用いて壁在結節径と膵液CEA値のcutoff値を同定したところ,壁在結節径cutoff値は分枝型で9mm,混合型と主膵管型は6mmで,膵液CEAのcutoff値は混合型で150ng/ml,主膵管型で300ng/mlであった.これらのcutoff値を用いたinvasive IPMCのaccuracyは,壁在結節径>9mmの分枝型IPMNで95%,女性, 血清CA19-9高値, 壁在結節径高値, 膵液CEA高値の4因子のうち2因子以上をもつ混合型IPMNで79%,壁在結節径高値あるいは膵液CEA高値の主膵管型IPMNで84%であった.これらを統合すると,本研究で同定した予測因子におけるinvasive IPMCのaccuracyは86%であった.なお,国際ガイドラインのhigh-risk stigmata因子を用いたinvasive IPMCのaccuracyは66%であった.
【結語】Invasive IPMCは浸潤長が5mm以下であってもリンパ節転移が生じえ,通常型膵癌同様のD2郭清が必要である.壁在結節径高値は全ての型で,膵液CEA高値は混合型と主膵管型で,invasive IPMCの独立予測因子であった.本研究で同定したinvasive IPMC予測因子は,国際ガイドラインのhigh-risk stigmata因子よりも有用であった.
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