演題

腹腔鏡下大腸癌手術における肥満症例の術式別の影響

[演者] 大島 隆一:1
[著者] 久恒 靖人:1, 真船 太一:1, 岸 龍一:1, 堀越 邦康:1, 田中 圭一:1, 國場 幸均:1, 大坪 毅人:2
1:聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 消化器・一般外科, 2:聖マリアンナ医科大学病院 消化器・一般外科

【背景】肥満症例の大腸癌に対する腹腔鏡下手術は,視野確保が困難であったり易出血性であることから出血量や手術時間,術後合併症の発生率などが有意に上昇すると報告されてきた.
【目的】当院における腹腔鏡下大腸癌手術の周術期に肥満が与える影響を術式別に検討し,その安全性や妥当性について検討を行った.【対象と方法】2011年1月から2015年12月までに当院で施行された腹腔鏡下大腸癌手術例のうち,結腸右半切除術(回盲部切除術を含む)を施行した84例,S状結腸切除術を施行した73例,さらに直腸癌にて低位前方切除術を施行した50例を対象とした.なお,再発例や重複癌症例,多臓器合併切除症例等は除外した.BMI 25未満(標準群)とBMI 25以上(肥満群)の2群に分けて,手術時間,出血量,リンパ節郭清個数,合併症や術後在院日数等の短期成績で比較検討を行った.【結果】結腸右半切除(標準群 72例vs 肥満群12例)では,手術時間の延長は認めないものの,肥満群において出血量の有意な増加(56.0ml vs 157.7ml,p= 0.001)を認めた.その他,術後の合併症率(12.5% vs 8.3%)や術後在院日数(13.9日 vs 10.3日)に有意差は認めなかった.次にS状結腸切除(標準群 63例 vs 肥満群 10例)では,手術時間や出血量に有意差は認めなかった.ただし,術前ASA 3の割合が肥満群で有意に高く(4.7% vs 30%),術後合併症率が有意に高い(4.8% vs 30.0%)結果であったが,術後在院日数に差は認めなかった(13.6日 vs 19.2日).最後に低位前方切除(標準群 37例 vs 肥満群 13例)においても,手術時間や出血量に関して有意差は認めなかった.さらに,術後合併症率や術後在院日数に有意差は認めなかった.【考察】どの術式においても,従来報告されていた肥満症例における手術時間の延長は当院では認めなかった.出血量に関しては,右半結腸切除術において肥満群で有意に多い結果であった.さらにS状結腸切除では術後合併症率が有意に多い結果であり,肥満の影響が示唆された.ただし,術前ASAが肥満群で悪く複数の要因が関係している可能性も考えられた.【結語】肥満症例の手術の際には,慎重な操作やこまめな止血,症例に応じたポートの追加や手術の定型化などによって安全に腹腔鏡手術を施行可能と考えられた.
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