演題

肥満患者に対する腹腔鏡下大腸癌手術の検討

[演者] 向川 智英:1
[著者] 富田 理子:1, 定光 ともみ:1, 竹井 健:1, 切畑屋 友希:1, 中多 靖幸:1, 松阪 正訓:1, 高 済峯:1, 石川 博文:1, 渡辺 明彦:1
1:奈良県総合医療センター外科

【背景】近年,大腸癌に対する腹腔鏡手術の需要が高まり,また技術の向上やデバイスの進化により以前は開腹手術を行わざるを得なかった困難症例に対しても施行されるようになってきている.中でも肥満患者の増加に伴い困難な肥満患者に対する腹腔鏡下大腸癌手術を行う機会も少なくない.
【目的】そこで肥満患者に対する腹腔鏡下大腸癌手術の手術成績をレトロスペクティブに検討したので報告する.
【対象と方法】2008年1月から2016年6月までに当科で施行した結腸癌 (RSを含む)手術症例394例のうち,BMI25以上の肥満症例は76例(19.3%),BMI 30以上は10例(2.5%)であった.BMI25以上の肥満症例は76例うち腹腔鏡手術は51例 (LAC群) に,開腹手術は25例 (OS群) に施行された.この2群間で手術時間,出血量,郭清リンパ節個数,術後在院日数を比較検討した.次に結腸癌 (RSを含む)に対する腹腔鏡手術252例のうちBMI25以上の肥満症例51例 (BMI-H群) とBMI25未満の非肥満症例201例 (BMI-L群) との間で同じ項目について比較検討した.
【結果】LAC群とOS群の手術時間は中央値で235分,140.5分とLAC群で有意に長く(p<0.0001),出血量は40mL,200mLとLAC群が有意に少なかった(p=0.0155).リンパ節郭清個数は10個,12個で有意差なく,術後在院日数は11日,14.5日とLAC群で短い傾向があったが有意差はなかった.次にBMI-H群とBMI-L群の手術時間は中央値で235分,215分とLAC群で有意に長く(p=0.0043),出血量は40mL,微量と有意差はなかった.リンパ節郭清個数は10個,12個,術後在院日数は11日,10日といずれも有意差はなかった.開腹移行はBMI-H群で2例 (3.9%),BMI-L群で4例 (2.0%) であった.【結語】当院においてBMI25以上の肥満患者の結腸癌 (RSを含む)に対する腹腔鏡手術は開腹手術およびBMI25未満の非肥満患者に比べて手術時間は長くかかるが出血量は少なく,在院日数の延長もみられないため手術成績に遜色はないと考える.
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