演題

地域病院におけるリンチ症候群同定の試み

[演者] 神山 篤史:1
[著者] 市川 宏文:1, 初貝 和明:1, 乙供 茂:1, 清水 拓也:1, 佐藤 明史:1, 福富 俊明:1, 梶原 大輝:1, 金田 巖:1
1:石巻赤十字病院 外科

【背景】リンチ症候群(LS)は全大腸がんの2-4%程度と考えられ,最も頻度の高い遺伝性腫瘍の1つである.ユニバーサルスクリーニングを行っている施設も見られるが地域病院ではその施行は現時点では難しい.このため,当院では70歳未満の大腸癌,LS関連腫瘍重複,子宮内膜癌,卵巣癌患者に絞り認定遺伝カウンセラーが介入した上で詳細な家族歴を聴取してターゲット介入を行っている.
【目的】ターゲット介入によるLS同定の効果を検討する.
【方法】2015年5月から2016年11月に当院で先述の方法で介入した患者の解析結果をretrospectiveに検討する.
【結果】計75例で介入を行った.介入群の背景は,平均診断時年齢56.1±11.2歳, 男性39例(52%), 原疾患は大腸癌68例(90%),子宮内膜癌5例(7%),卵巣癌2例(3%)であった.この中で改訂ベセスダガイドラインに合致するのは46例(61%)であり,その内訳は大腸癌45例(98%),子宮内膜癌1例(2%).重複を含む大腸癌原発巣は右側19例(36%), 左側36例(64%), 不明1例(2%)であり, 主なベセスダガイドライン一致項目は①年齢50歳未満:22例(48%),②LS癌の重複:14例(30%), ③家族歴あり:20例(43%)で,①と②の重複は1例(2%), ①と③の重複は6例(13%), ②と③の重複は3例(7%)であった.また,11例(15%)は50歳以上で重複癌もないものの,家族歴聴取でベセスダガイドラインに一致した.現時点でマイクロサテライト不安定(MSI)検査を施行したのは15例であり,3例でMSI-highであった.3例の詳細であるが,1例目は40歳代男性,上行結腸癌と横行結腸癌の重複癌であるが家族歴は無かった.2例目は80歳代男性,大腸癌4箇所と胃癌の重複癌であるが家族歴は無かった.3例目は70歳代女性,上行結腸癌,子宮内膜癌,胃癌の重複癌で家族歴を有していた.この3例の遺伝子検査の結果はそれぞれ,拒否,遺伝子変異なし,現在解析中である.
【結語】介入を行う事で現在までに3例のMSI-highを認めており一定の効果は挙げていると思われた.しかし,LSの同定にまでは至っておらず本介入方法の有効性を判断するのは現時点では難しい.今後も症例を集積していく予定である.
詳細検索