演題

初発大腸癌切除症例における重複癌の検討

[演者] 大野 陽介:1
[著者] 本間 重紀:1, 市川 伸樹:1, 吉田 雅:1, 川村 秀樹:1, 武冨 紹信:1
1:北海道大学大学院 消化器外科学分野Ⅰ

【背景】現在,大腸癌患者も含めがん罹患患者は増加傾向にある.大腸癌と他癌種との重複癌症例に遭遇する機会も増加すると考える.
【目的】当科における初発大腸癌切除症例における重複癌症例について検討する.
【方法】2008年4月から2016年11月の期間に当科にて手術施行した症例において重複癌群と非重複癌群に分類し臨床病理学的特徴,手術内容,予後について検討する.
【結果】対象症例は427症例,年齢中央値68歳(20-91歳),男女比275:153例,観察期間中央値16ヶ月(0.1~91ヶ月)であった.重複癌群は46例(10.7%),非重複癌群は281例であった.年齢,性別,大腸癌部位において両群間に有意差は認めなかった.重複癌臓器は男性では胃癌7例,肺癌6例,頭頸部癌6例,前立腺癌3例,肝細胞癌2例,腎細胞癌2例,皮脂腺癌・食道癌・胆管癌がそれぞれ1例ずつであった.女性では乳癌7例,胃癌2例,肺癌2例,皮脂腺癌2例,食道癌2例,肝細胞癌・膀胱癌・白血病がそれぞれ1例ずつであった.重複癌群44例(95.7%)に腹腔鏡下大腸切除を施行し,同時性重複癌において胃癌7例(腹腔鏡6例),肝細胞癌1例(腹腔鏡),乳癌1例においては一期的に切除したが合併症は認めなかった.非重複癌群においては338例(88.7%)に腹腔鏡手術施行した.リンパ節郭清度,郭清リンパ節個数においては両群に差は認めなかった.病理学的因子においては非重複癌群においてT4症例が統計学的に有意に多かったが,その他N因子,脈管侵襲,病期においては両群間に有意差は認めなかった.大腸癌に対する術後補助化学療法はStageⅢB(3症例)においては全例施行されていたがStageⅢA(11例)においては3例のみ施行されていた.予後に関しては,重複癌群と非重複癌群において2年無再発生存率(93.5% v.s 88.5%),5年生存率(66.2% v.s 82.5%)であった.5年疾患特異的生存率(100% v.s 84.3%)であり両群間に有意差は認めず重複癌群において大腸癌による死亡症例は認めなかった.
【考察とまとめ】重複癌症例においても大腸癌は良好な予後が期待でき,他癌の予後が期待できる症例では周術期の化学療法を含め積極的な治療が望まれる.また,腹腔鏡は腹腔内臓器における重複癌症例において一期的切除を目的とした低侵襲手術として有用であると考える.
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