演題

高転移大腸癌株におけるIDO1発現とトリプトファン代謝についての検討

[演者] 粕谷 和彦:1
[著者] 土方 陽介:1, 中島 哲史:1, 瀧下 智恵:1, 佐原 八束:1, 細川 勇一:1, 許 文聰:1, 永川 裕一:1, 勝又 健次:1, 土田 昭彦:1
1:東京医科大学病院 消化器外科・小児外科

背景1:細胞株にも転移能を有する細胞株(高転移株)とその親株がある.遺伝子配列の違いに起因しないDNAメチル化に焦点を当て,その違いを網羅的に解析した.方法1:既に樹立された高転移株KM12SMとその親株KM12Cを用い,約48万か所の遺伝子プロモーター領域のメチル化の頻度の違いをInfinium-HumanMethylation-450で解析した.結果1:KM12SMではKM12Cに比し,indoleamine 2,3-dioxygenase 1 (IDO1)が脱メチル化(活性)状態にあった.背景2:IDO1はトリプトファン の代謝の律速酵素であり,IDO1が高発現すれば,癌細胞内および癌細胞周辺でのトリプトファン の代謝が進む.トリプトファンの枯渇と細胞毒となる代謝産物キヌレン酸の生成は癌周囲の免疫学担当細胞に細胞死をもたらす.両細胞株でのIDO1活性とトリプトファン,キヌレン酸濃度を測定した.方法2:細胞をIFNγで刺激した後,IDO1活性をm-RNA,免疫染色,Western blot,ELISAで比較した.トリプトファン,キヌレン酸濃度は液体クロマトグラフィーで測定した.結果2: KM12SMはKM12CよりIDO1のm-RNA,タンパク発現量が多かった.免疫染色では両細胞株の差異を可視化することは出来なかった.培養上清中のトリプトファン濃度はKM12C < KM12SM,細胞内トリプトファン量はKM12C > KM12SM,細胞内キヌレン酸量はKM12SM > KM12Cであり,IDO1活性の差に矛盾しない差を認めた.結論:高転移細胞株KM12SMでより発現したIDO1は肝転移に関与する1つの指標となる可能性を示し得た.さらに癌でのIDO1の発現によるキヌレン酸の生成は周囲の免疫担当細胞への毒性を示すことから,免疫寛容に伴い転移が成立する可能性が考えられた.
詳細検索