演題

術前化学放射線療法後の進行下部直腸癌症例における予後予測因子としてのCD133発現性について

[演者] 奥山 隆:1
[著者] 鮫島 伸一:1, 小野 祐子:2, 斎藤 一幸:1, 吉岡 龍二:1, 山形 幸徳:1, 菅又 嘉剛:1, 多賀谷 信美:1, 野家 環:1, 大矢 雅敏:1
1:獨協医科大学越谷病院 外科, 2:獨協医科大学越谷病院 病理部

【目的】 術前化学放射線療法(NACRT)を施行した進行下部直腸癌症例では, 術後の病理学的検査の際にリンパ節転移(pN因子)なしの症例を多く経験する. pN因子なし症例においても術後再発例はみられるため, 他の予後予測因子の同定が期待される. 今回, 予後予測因子の候補として癌幹細胞マーカーの1つであるCD133に着目しその有用性を検討した. 【対象と方法】 2010-2016年9月の間に深達度A以深と診断されNACRTを施行した進行下部直腸癌34例のうち, 術中に肝転移が判明した1例を除外した33例を対象とした. 男性19例, 女性14例, 平均観察期間は32.4ヶ月であった. CRTは経口5-FU製剤併用で1.8Gy×25回 (計45Gy) を全骨盤腔に照射した. 切除標本の原発巣最深部を含む薄切切片に, CD133免疫組織化学染色を施行し, 評価は癌先進部での陽性細胞数の割合を算出し, 50%以上の発現を高発現群, 50%未満の発現を低発現群とした. 統計学的検討はχ2検定を, 生存曲線はKaplan-Meier法を用いlog-rank検定にて算出した. いずれの検定もp<0.05を有意差ありとした. 【成績】 術後の病理学的検討では原発巣の深達度T(0/is-1/2/3/4)は4/1/8/18/2で, リンパ節転移N(0/1/2/3)は26/5/2/0例に, 脈管侵襲ly/v/lyvは9/14/16例にみられた. NACRTによる組織学的治療効果Grade(0/1a/1b/2/3)は1/10/6/11/5例で, 組織学的 CRは5例(15%)であった. 術前血清CEA高値であった20例における数値の正常化は9例(45%)にみられた. 術後再発は6例(18%)にみられ, 再発部位(肺/肝/局所)は3/1/2例であった. 術後再発について臨床病理学的因子(T: T0-1 vs.T2-4, N: ありvs.なし, lyv: ありvs.なし, Grade)との検討では, いずれも有意な相関は認められなかった (p=0.340, p=0.376, p=0.298, p=0.133). CD133発現は低発現15例, 高発現19例であった. CD133発現性と臨床病理学的因子(T, N, lyv, Grade)との有意な相関は認められなかったが(p=0.072, p=0.094, p=0.114, p=0.539), 術後再発の有無と有意な相関がみられた(p=0.037). また, 短期(3年)無再発生存率ではCD133発現性に有意差がみられた(91.7% vs. 47.1%, p=0.009). 【結論】 CD133の発現性はNACRTを施行した進行下部直腸癌症例の予後予測因子となることが示唆された. しかしながら, 検討症例数が少なく観察期間も短いため, 今後も検討を継続していく必要がある.
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