演題

大腸がんにおけるCRD-BPの発現とがんの臨床病理学的特性や分子病態との関連解析

[演者] 富田 泰斗:1
[著者] 三浦 聖子:1, 藤田 純:1, 大西 純:1, 藤田 秀人:1, 木南 伸一:1, 中野 泰治:1, 上田 順彦:1, 小坂 健夫:1, 源 利成:2
1:金沢医科大学医学部 一般・消化器外科学, 2:金沢大学がん進展制御研究所

【背景】CRD-BP (coding region determinant-binding protein)はβ-cateninとIκBαに共通のE3ユビキチン連結酵素β-TrCP1 (β-transducin repeats-containing protein),c-myc,IGF-II (insulin-like growth factor- II)のRNAトランス因子であり,大腸がんではβ-cateninにより発現誘導されることを見い出した.これまでに,少数例の大腸がんや他のがん種を対象にCRD-BPの発現解析が報告されているが,がん病態との関連は明らかではない.本研究では,大腸がんにおけるCRD-BPの発現が,がん病態の分子指標になるかを検討した.
【方法】ヒト大腸がん42症例の腫瘍及び非がん部(正常)組織検体からcDNAを調製し,定量的RT-PCRによりCRD-BP,β-TrCP1,c-mycとIGF-IIの発現を測定し,GAP-DHを内部対照としたΔΔCt法により相対的に評価した.b-cateninとCRD-BPの蛋白質発現は免疫染色により解析した.データの統計解析にはMann-Whitney U検定,χ²検定,スピアマン順位相関係数を用い,p<0.05を有意差ありとした.
【結果】大腸がん症例における各分子の発現陽性頻度はCRD-BP: 66.7%,β-TrCP1: 71.4%,c-myc: 61.9%とIGF-II: 52.4%であった.CRD-BP発現はβ-TrCP1 (p=0.00),c-myc (p=0.02)とIGF-II(p=0.02)と有意に相関を認めた.また,CRD-BP発現レベルは腫瘍細胞におけるb-cateninの核集積,活性化を示す大腸がんで高い傾向であった.臨床病理学的には,年齢65歳以上でCRD-BPの発現が有意に高頻度であったが,その他の因子との相関は認められなかった.予後に関する検討では,CRD-BP発現亢進を示す症例は,発現亢進していない症例に比べて生存期間は短い傾向にあった.
【まとめ】大腸がんにおいてβ-cateninの活性化により誘導されるCRD-BPは,b-TrCP1,c-myやIGF-IIの発現を介して腫瘍の病態進行に関与すると考えられた.そして,大腸がんにおけるCRD-BPの発現は予後不良因子となりうることが示唆された.
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