演題

PD05-3

IPMN切除後長期経過例から考える至適切除範囲

[演者] 伊藤 達雄:1
[著者] 増井 俊彦:1, 佐藤 朝日:1, 仲野 健三:1, 多田 誠一郎:1, 山根 佳:1, 穴澤 貴行:1, 高折 恭一:1, 上本 伸二:1
1:京都大学附属病院 肝胆膵・移植外科

【はじめに】IPMNは様々な病変が混在しており,症例によっては切除すべき病変を適切に選択する必要がある.2012年ガイドラインが術式決定の参考とされるが,症例によっては切除する病変を選択し,残存病変の観察を行う場合もある.当院の切除症例の長期経過を調査することにより,切除範囲の妥当性を検討した.【対象】2005年から2015年にIPMNに対して当院で外科的切除術を行った106例.診療録の内容をもとに検討を行った.【結果】症例は男性61例,女性45例,年齢の中央値65歳(35-80).主膵管型30例,混合型16例,分枝型60例に対して,膵全摘18例,膵頭十二指腸切除52例,膵体尾部切除34例,膵中央切除2例,残膵全摘2例が選択されていた.主膵管型ではhigh-grade以上の病変が70%にみられたが,分枝型ではその頻度は27%であった.長期予後は,中央生存期間2136日,原病死2例,他病死8例がみられた.また,2例で経過中に残膵にIPMNが認められ残膵全摘を行い,1例で通常型膵癌が生じたが切除不能だった.この3例は初回手術時に残存病変はなかった.一方,16例で嚢胞ないしは膵管拡張などの残存病変があり,6例で切除断端に腫瘍性病変を指摘されたが,1例で残存した嚢胞がやや増大した以外は変化がなく新規病変の出現もない.【考察】我々は切除病変の選択に2012年ガイドラインを参考として検討している.それ以前の症例では5mm以上の主膵管拡張および嚢胞径30mm以上の病変を切除の対象としていた.切除後の予後は良好であり,原病死は2例に認められたのみであったため十分な切除が行われているものと考えられる.主膵管型に関してはskip lesionの可能性があるため積極的な切除に取り組んでいるが,分枝型については悪性病変が含まれる可能性が低い部位は温存して経過観察を行うのが適当と考えられる.残存病変の経過観察例でもほとんどの症例で変化がなく,残膵再発例は術前に病変が認められなかった部位に病変の出現を認めている.病変の完全切除が基本ではあるが,可及的に膵機能を温存することはQOLの維持にも重要であり慎重に術式選択を行うべきである.また,残膵に出現する新規病変の予測は難しく,経過観察は適切に行われる必要がある.
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