演題
PE10-7
無機ナノ粒子を用いた炎症腸管へのマイクロRNA送達に関する検討 |
[背景]
炎症性腸疾患 (IBD) は若年で発症し腹痛,下痢を主症状とする難治性疾患である.抗TNF-α抗体などの分子標的薬の出現により,その寛解率は上昇した.しかし10年間の累積再発率はクローン病,潰瘍性大腸炎ともに約70%と高率であり,根治に向けてさらなる新薬の開発が求められる分野である.そこで私達は新たな治療薬としてマイクロRNA (miRNA)に着目した.miRNAは20から25塩基長の小さな機能性核酸である.細胞内の炎症経路に関与する複数のmiRNAについて既に報告があるが,直接ターゲット核酸を投与した場合,生体内で核酸は容易に分解されてしまうことが,実用化に向けての課題とされている.そこで私達はこれまで腫瘍への核酸デリバリーで高い効果を示した無機ナノ粒子(CA)を用いて炎症腸管への核酸送達能について検討した.
[対象方法]
Balb/cマウス7週齢メスに対して DSSを自由給水させ腸炎モデルを作成した.
腸管へのsCAの送達を確認するために,生体内に存在しない配列をもつmiRNA (MIRTX)とAlexa647蛍光色素で標識したnegative control miRNAの2つを作成した.実験はDSS腸炎マウスに対してこの2種類のmiRNAをそれぞれsCAに内包し,尾静脈から全身投与した後,4時間で腸管を摘出した.MIRTX,蛍光miRNAの摘出腸管での発現をそれぞれRT-PCRと蛍光顕微鏡を用いて検討した.
[結果]
MIRTXを投与したマウスの腸管からmiRNAを抽出し, MIRTXのRT-PCRを行ったところ,正常腸管,炎症腸管のいずれにおいてもsCAの取り込みが確認でき,炎症腸管で有意に発現の増加を認めた.蛍光miRNAを投与したマウスの炎症腸管ではより多くの発光を認めることができた.
[まとめ]
sCAは内包した核酸を全身投与により腸管組織に送達することが可能であった.また炎症腸管においてその取り込みは有意に上昇した.
炎症性腸疾患 (IBD) は若年で発症し腹痛,下痢を主症状とする難治性疾患である.抗TNF-α抗体などの分子標的薬の出現により,その寛解率は上昇した.しかし10年間の累積再発率はクローン病,潰瘍性大腸炎ともに約70%と高率であり,根治に向けてさらなる新薬の開発が求められる分野である.そこで私達は新たな治療薬としてマイクロRNA (miRNA)に着目した.miRNAは20から25塩基長の小さな機能性核酸である.細胞内の炎症経路に関与する複数のmiRNAについて既に報告があるが,直接ターゲット核酸を投与した場合,生体内で核酸は容易に分解されてしまうことが,実用化に向けての課題とされている.そこで私達はこれまで腫瘍への核酸デリバリーで高い効果を示した無機ナノ粒子(CA)を用いて炎症腸管への核酸送達能について検討した.
[対象方法]
Balb/cマウス7週齢メスに対して DSSを自由給水させ腸炎モデルを作成した.
腸管へのsCAの送達を確認するために,生体内に存在しない配列をもつmiRNA (MIRTX)とAlexa647蛍光色素で標識したnegative control miRNAの2つを作成した.実験はDSS腸炎マウスに対してこの2種類のmiRNAをそれぞれsCAに内包し,尾静脈から全身投与した後,4時間で腸管を摘出した.MIRTX,蛍光miRNAの摘出腸管での発現をそれぞれRT-PCRと蛍光顕微鏡を用いて検討した.
[結果]
MIRTXを投与したマウスの腸管からmiRNAを抽出し, MIRTXのRT-PCRを行ったところ,正常腸管,炎症腸管のいずれにおいてもsCAの取り込みが確認でき,炎症腸管で有意に発現の増加を認めた.蛍光miRNAを投与したマウスの炎症腸管ではより多くの発光を認めることができた.
[まとめ]
sCAは内包した核酸を全身投与により腸管組織に送達することが可能であった.また炎症腸管においてその取り込みは有意に上昇した.