演題

進行大腸癌におけるペリオスチン発現に関する検討

[演者] 末山 貴浩:1
[著者] 梶原 由規:1, 望月 早月:1, 神藤 英二:1, 山寺 勝人:1, 渡邊 智記:1, 阿尾 理一:1, 米村 圭介:1, 山本 順司:1, 上野 秀樹:1
1:防衛医科大学校医学部 外科学

【背景・目的】当教室では先進部における線維性癌間質の形態学的特徴は筋線維芽細胞(MFs)の分布と相関し,大腸癌の腫瘍悪性度をよく反映することを報告してきた.MFsから間質に分泌されるmatricellular タンパク質であるペリオスチンは間質の線維化を惹起することが知られているが,免疫組織化学染色法による検討において,線維性癌間質の形態学的変化と深く関連する結果を得ている.今回,ペリオスチン発現の局在と癌間質の形態学的特徴との関連を明らかにすることを目的として検討を行った.
【対象・方法】2014年から2015年の間に切除した進行大腸癌27例を対象とした.新鮮凍結切片よりmanual dissectionにて腫瘍中央部,腫瘍先進部の癌部,腫瘍先進部の癌間質の計3か所を選択的に採取し,RNA抽出の上,real-time qPCR法にてペリオスチンmRNAの発現を検討した.線維性癌間質はHE標本を評価し,その形態学的特徴から既報(Gut2004;53:581-586)に従ってMature,Intermediate,Immatureの3群に分類した.
【結果】[検討1:採取組織部位別でのペリオスチンmRNA発現]ペリオスチンのmRNA発現は腫瘍中央部に比較して,腫瘍先進部癌部では発現強度が増強する傾向を認めた(中央値:3.0倍,範囲:0.02~1200倍).これに対して,先進部間質では,腫瘍中央部に比較して中央値で45.8倍(範囲:1.4~1260倍)と著明に高発現していた(p<0.0001).
[検討2:線維性癌間質の形態学的分類別でのペリオスチンmRNA発現]ペリオスチンmRNAは腫瘍中央部に比較してMature間質では中央値で6.5倍(範囲:0.7~111倍)であるのに対し,Immature間質では中央値で55.7倍(範囲:11.1~559倍)であり,Immature間質で有意に高発現していた(P = 0.0017).
一方 Mature部とImmature部が混在する大腸癌を検討したところ,Mature部のペリオスチン発現に比較してImmature部の発現は有意に発現しており,両者の発現量比の中央値は82.1倍 (6.2~318倍)であった(P = 0.001).
【結語】ペリオスチンは大腸癌の先進部癌間質に強く発現していた.またペリオスチンは線維性癌間質の形態学的特徴に相関し,Matureな間質に比較してImmatureな間質で高発現することがmRNAレベルでも確認された.ペリオスチンが線維性癌間質の形態的変化に関与し,腫瘍悪性度に影響を及ぼしている可能性が示唆された.
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