演題

大腸癌手術症例のドレーン排液中及び術後血中TNF-αの臨床的意義

[演者] 田代 恵太:1
[著者] 神藤 英二:1, 梶原 由規:1, 山寺 勝人:1, 辻本 広紀:1, 青笹 季文:1, 平木 修一:1, 山本 順司:1, 長谷 和生:1, 上野 秀樹:1
1:防衛医科大学校病院 第1外科

腹膜透析患者の合併症として難治性イレウスを呈する被嚢性腹膜硬化症があり,臨床的に腹膜透析排液中のTNF-α増加が一因とされる.これまで我々は,術後1日目のドレーン排液中のTNF-αが術後イレウス発症のリスク因子となり,TNF-αは腹腔内の癒着形成に関与している可能性を示してきた.今回我々は,大腸癌術後症例の術後1日目のドレーン排液中及び血中TNF-αを計測し,その意義について検討するとともに,開腹手術(Open)症例と腹腔鏡補助下手術(Lap)症例の間で比較を行った.【対象】2011年から2016年の間に大腸癌手術が行われ,術後1日目にドレーン排液を採取した185症例(Open症例:109,Lap症例:76)と血液を採取した61症例(Open症例:31,Lap症例:30)を対象とした.【方法】TNF-α濃度(pg/ml)は,術翌日のドレーン排液及び血清を用い,酵素免疫測定法にて測定し,それぞれの平均値(ドレーン排液:119.4 pg/ml,血清:4.9 pg/ml)を基準値として高値群と低値群に分類した.【結果】1 )ドレーン排液中TNF-αとイレウス発症との関連:Clavien-Dindo分類でGradeⅢ以上のイレウス症状を発症した10症例と合併症のない75症例で検討を行ったところ,イレウス発症例は非発症例と比較して有意にドレーン排液中のTNF-α濃度が高値であった.(発症例:168 pg/ml vs 非発症例:89 pg/ml p=0.013)2 )ドレーン排液中TNF-αの検討:Open症例のうちTNF-α高値群の割合は31.2%(34/109)でありLap症例の15.8%(12/76)と比較し高率であった.(p=0.015) 3)血中TNF-αの検討:Open症例のうちTNF-α高値群の割合は46.7%(14/31)でありLap症例の53.3%(16/30)と差を認めなかった.(p=0.523)【結語】大腸癌手術症例において,ドレーン排液中TNF-αは術式およびイレウス発症率と相関を示した.一方,血中TNF-αの意義は確認できなかった.
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