演題

大腸癌における循環血中遊離DNA量と予後との関連

[演者] 田中 光司:1
[著者] 井上 靖浩:2, 問山 裕二:2, 藤川 裕之:2, 廣 純一郎:2, 大井 正貴:2, 荒木 俊光:2, 毛利 靖彦:2, 三木 誓雄:1, 楠 正人:2
1:伊賀市立上野総合市民病院 外科, 2:三重大学大学院 消化管・小児外科学

<背景>
癌患者における循環血中の遊離DNA (circulating cell-free DNA: 以下ccfDNA)は,癌細胞だけでなく癌組織の正常細胞の壊死またはアポトーシスにより血中に放出されたDNAで,癌患者の全ccfDNA量は健常人よりも高く,癌進展と関連するとの報告が多い.
ccfDNA自体は腫瘍特異的でなく,腫瘍細胞由来ccfDNAは全ccfDNAの 0.01%未満と報告されており,癌診断,予後予測マーカーとしての意義は明らかでない.
<目的>
大腸癌における全ccfDNA量と臨床病理学的因子と及び予後との関連を検討する.
<対象と方法>
当科にて切除された大腸癌298例を対象とした.術前血清10μLを用いPicoGreen (Invitrogen)を用いた二本鎖DNAを定量し,臨床病理学的因子と予後との関連を検討した.
<結果>
男性:175人,女性:123人,平均年齢:66.7歳,術前ccfDNAは232~4598.3ng/ml (平均:564.4 ng/ml)であった.ccfDNA量と腫瘍径,肉眼型,組織型,リンパ管侵襲,壁深達度,リンパ節転移,腹膜転移との間には有意な関連は認めなかった.ccfDNA量は血管侵襲陽性 (p<0.01),肝転移陽性(p<0.01),遠隔転移陽性 (p=0.031),臨床病期 (p=0.024)と有意な関連を認めた.ccfDNA高値群 (>367.3 ng/ml)は有意に予後不良であった(p=0.04).治癒切除患者ではccfDNA高値群 (>293.3 ng/ml)は予後不良傾向であった(p=0.06).ccfDNAは多変量解析では独立した予後因子ではなかった.
<結語>
ccfDNA量は,肝転移,遠隔転移,臨床病期と関連し,予後とも関連していたが,独立した予後因子ではなかった.
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