演題

PD05-2

当科における膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)に対する手術適応と治療成績の検討

[演者] 賀川 真吾:1
[著者] 清水 宏明:1, 吉富 秀幸:1, 古川 勝規:1, 高屋敷 吏:1, 高野 重紹:1, 久保木 知:1, 鈴木 大亮:1, 酒井 望:1, 大塚 将之:1
1:千葉大学附属病院 肝胆膵外科

【背景・目的】2012年のIPMN/MCN国際診療ガイドライン改訂により,疾患の定義,切除適応,経過観察の基準に加え悪性化のリスクがhigh risk stigmataとworrisome featureに層別化されることにより,診療方針選択のアルゴリズムが示されたが,この改定により手術に対して消極的になり得ることが指摘されてきた.またClippaら(Gut 2016)による大規模な多施設後ろ向き解析の結果から,worrisome featuresにおける高齢者の疾患特異的生存率が良好であるとの報告や,依然高い膵切除のMorbidity・Mortality rateを考慮し,より経過観察を推奨しようとする動きもある.今回2012年ガイドライン前後における手術適応および,治療成績につき検討する.【対象・方法】2006年1月から2016年7月までに当院にて切除したIPMN146例につきretrospective に検討.男性96例,女性50例.平均年齢68.5歳.【結果】主膵管型41例,混合型46例,分枝型59例.術式は膵頭切除82例,尾側膵切除43例,膵全摘14例,その他7例(中央切除5例,膵部分切除1例,中央区域温存膵切除術1例).リスク分類ではhigh risk stigmata 91例,worrisome feature 51例,いずれにも該当しないもの4例.組織学的分類は腺腫67例,非浸潤癌34例,浸潤癌45例.Kaplan-Meier法による生存分析では腺腫vs非浸潤癌(p=0.04),腺腫vs浸潤癌(p=0.001),非浸潤癌vs浸潤癌(p=0.18),high risk stigmataの有無(p=0.0038),CA19-9High vs Low(p=0.0001),PET集積有無(有意差なし).high risk stigmataによる癌(非浸潤癌+浸潤癌)の検出は感度78%,特異度57%で相関あり(p=0.0001).CA19-9異常による癌の検出は感度32%,特異度81%で相関は認めなかった.PET検査による癌の検出は感度57%,特異度78%で相関あり(p<0.0001)であった.経過観察後に手術を施行した症例の割合は,2012年以前26%,以後50.5%で,それぞれ悪性の割合は前55%,後50%.【結論】非浸潤癌であっても浸潤癌と同様再発リスクに留意する必要があり,悪性病変の検出には2012年ガイドラインによるリスク分類は有用であった.一方予後予測にはCA19-9が有用なマーカーであった.2012年以降,経過観察後の手術例が増加していたが,そのような症例でも悪性例の割合の増加は無かった.しかしながらこれらの症例中約半数に悪性例が認められており,さらなる予後改善のためには慎重な経過観察を行うとともに,手術に対して消極的になるべきではないと考えられた.
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