演題

当科における直腸カルチノイド切除症例

[演者] 木村 慶:1
[著者] 野田 雅史:1, 馬場谷 彰仁:1, 浜中 美千子:1, 小林 政義:1, 塚本 潔:1, 山野 智基:1, 冨田 尚裕:1
1:兵庫医科大学病院 下部消化管外科

<はじめに>
直腸カルチノイドは,長らくは良性腫瘍として扱われてきたが,近年,神経内分泌腫瘍(Neuro Endocrine Tumor)として潜在悪性に分類されている.膵・消化管NET診療ガイドラインで直腸NETにおいて腫瘍径が10mm以上ではリンパ節郭清を伴う直腸切除,腫瘍径が10mm以下であっても内視鏡的切除を先行し脈管侵襲陽性または切除断端陽性であれば,リンパ節郭清を伴う直腸切除の適応となっている.直腸カルチノイドは下部直腸が大半を占めており治療法は肛門機能,排便機能に影響を及ぼすため慎重な選択が必要である.
<目的と対象>
当院での直腸カルチノイド手術症例に対して,治療成績を検討した.
<対象と方法>
2000年4月から2016年11月までの期間に当院で直腸カルチノイドに対して外科的加療を行った34例を対象とした.発症年齢,性別,腫瘍の局在,腫瘍径,表面陥凹の有無,術式,他癌合併,臨床病理学的特徴,転移の有無,再発の有無,予後について後方視的に検討した.
<結果>
男性20例,女性14例で,治療時年齢の中央値は60(23-83)歳であった.腫瘍径は中央値で14(3-25)mm,肛門縁からの距離は5.5(0.9-8)cmであった.中心陥凹は63.3%(21/33)に見られ,多発例は2.9%(1/34)例にみられた.治療は経肛門的局所切除6例,低位前方切除術7例,超低位前方切除術15例,括約筋間直腸切除術(ISR)は6例で行われ全例に肛門温存が可能であった.深達度はT1:27例,T2:6例で,脈管侵襲は44.8%(13/29)に認めた.リンパ節転移率は41.2%(14/34)に認めた.腫瘍径が10mm以上では47.6%(10/21),腫瘍径が10mm以下では31%(4/13)の症例にリンパ節転移を認め,10mm以下の症例であってもリンパ節転移は高率に見られた.腹膜播種1例,肝転移1例を認めた.大腸癌の合併は11.8%(4/34)に見られた.術後観察期間中央値は55(3-168)か月で,術後再発は3例(内2例は初発時の遠隔転移症例)であったが,死亡は他病死の1例のみであった.
<まとめ>
直腸カルチノイドは,リンパ節転移率が高いが根治術が可能であれば再発例は少なく当院での治療は妥当と考えられた.しかし,直腸カルチノイドは直腸の低い部位に好発するため,distal marginを得るためにISR等の術式を選択する頻度も高く経肛門アプローチの手技に習熟した施設での治療が望まれる.
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