演題

当院における直腸NET症例の検討

[演者] 湯川 芳郎:1
[著者] 賀川 義規:1, 加藤 健志:1, 内藤 敦:1, 村上 剛平:1, 桂 宜輝:1, 大村 仁昭:1, 竹野 淳:1, 武田 裕:1, 田村 茂行:1
1:関西労災病院 外科

【背景】
NET(Neuroendocrine tumor)は長らく良性腫瘍として扱われてきたが近年,潜在悪性に分類されている.直腸NETの治療法の選択は肛門機能,排便機能,性機能に影響を及ぼすため慎重な選択が必要である.
【目的】
直腸NETの臨床病理学的特徴と治療について調べること.
【対象・方法】
2002年5月~2016年11月の期間で当院病理検査にて消化管NETと診断した症例は全55例(胃8,十二指腸8,膵2,小腸2,結腸1,虫垂1,直腸32,肛門管1)あった.その中から当院で治療を行った直腸原発のもの29例(男:女=17:12)を対象とし,発症年齢,占拠部位,病理学的特徴,腫瘍径,他癌合併,転移の有無,治療法,再発の有無,予後について検討した.
【結果】
発症平均年齢は59.5歳(36-79).治療は内視鏡的切除:18例,局所切除:2例,リンパ節郭清を含めた外科的切除:7例,経過観察:2例であった.占拠部位はRs:1例,Ra:4例,Rb:24例で,深達度はTis:5例,T1:21例,T3:1例,不明:2例であった.WHO分類でG1:25例(86.2%),G2:3例(10.3%),不明:1例であり脈管浸潤を認めたものは4例(13.8%)あった.フォロー期間中(中央値868日:90-4951)に原発部位に再発した症例は認めなかったが肝転移を2例(6.9%)に認めた.ともにリンパ節郭清を伴う外科的手術(R0)を施行後であったが手術後13か月後,54か月後に再発していた.また脈管浸潤陰性では25例中1例(4.0%)であるのに対し,陽性では4例中1例(25.0%)に再発を認めた.また腫瘍径が10mm以下では再発を認めなかったが,10mm以上では6例中2例(33.3%)に再発を認めた.また全29例中8例(27.6%)に他癌合併(直腸6,盲腸1,胃1)を認めた.
【結語】
当院の結果では,直腸NETにおいて脈管浸潤陽性例と腫瘍径10mm以上例で再発を認めた.再発症例はいずれもR0手術を行なった後の再発であるため,R0手術を行えたとしてもその後の長期にわたるフォローが必要である.さらに今回の検討では直腸NETにおいて他癌合併頻度が高くなっているため,直腸NET治療に先立って全身検索を行うことが重要であると考えられる.
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