演題

精神疾患罹患の大腸癌症例に対する腹腔鏡補助下大腸切除の短期手術成績の検討

[演者] 西川 正博:1
[著者] 松田 恭典:2, 家根 由典:2, 坂田 親治:2, 酒部 克:2, 徳原 太豪:2
1:石切生喜病院 外科, 2:浅香山病院 外科

(緒言)精神疾患罹患患者の腹部手術は向精神病薬や術後の体動制限により亜イレウス状態であることが多く手術時間の延長や術後合併症が増える傾向にある.当院では2004年より精神疾患罹患患者に対しても腹腔鏡補助下大腸切除(以下LAC)を施行してきた.当院で施行された精神疾患罹患患者の大腸癌症例に対するLACの短期手術成績を検討した.
(対象)対象は2004年6月から2016年10月に施行した精神疾患罹患歴を有する大腸癌に対するLAC施行例(以下PL群)59例で全例精神科医が精神科病棟に入院が必要と診断した症例であった.また深達度SI症例,下腹部の手術歴のある症例,術前腸閉塞を併発した症例,同時施行手術のあった症例,複数病変のあった症例,直腸切断術は除外した.
(方法)上記の症例と同時期,同条件で施行した精神疾患罹患歴のない大腸癌症例に対するLAC施行例(以下NPL群)183例と手術時間,出血量,術後食事摂取開始日,術後合併症などについて比較検討した.
(結果)患者背景は平均年齢PL群71.0歳(46-86歳)/NPL群72.9歳(41-94歳),性別は男性39例,女性20例/ 男性117例,女性66例であった.短期手術成績については平均手術時間PL群234.5分/NPL群232.6分),出血量の中央値34 cc(0ー1528cc)/30 cc(0ー405cc),術後食事開始日の中央値3日(2-17日)/2日(1-17日),術後のGrade3以上の合併症4例(6.8%)/16例(8,7%),術後のSSI合併11例(18.6%)/29例(15.8%)であった.これらの項目のうち術後食事開始のみPL群で有意に延長した(p=0.003)が他項目では有意差は認められなかった.
(考察)精神疾患罹患患者のLACは術後食事開始日を除いて通常のLACと同様の短期手術成績であり積極的に適応が考慮されるべきである.また精神疾患罹患患者は向精神病薬や体動制限の影響で術後においても腸管蠕動が弱くなるため術後経口摂取が遅れると考えられた.今後術後管理やクリティカルパスの変更も考慮されるべきと思われた.
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