演題

循環器疾患を有する高齢者に対する腹腔鏡下結腸切除術の安全性についての検討

[演者] 横溝 悠里子:1
[著者] 松永 理絵:1, 片岡 温子:1, 佐藤 雄:1, 合田 良政:1, 秀野 泰隆:1, 矢野 秀朗:1
1:国立国際医療研究センター病院 外科

【目的】腹腔鏡下手術は,循環動態への負担が大きく,また手術時間が長くなる傾向にあるが,一方で低侵襲とされ,近年では高齢者に積極的に施行されている.今回,循環器疾患を有する高齢者の結腸癌に対する腹腔鏡下手術の安全性を検討した.【対象および方法】2011年1月~2016年4月までに当院で結腸癌に対して手術を施行した469症例のうち,75歳以上で腹腔鏡下手術を施行した113症例を対象とした.その中で,心不全・冠動脈疾患・弁疾患・不整脈・大血管疾患の5項目のうち,1項目以上が診断されている症例を,循環器疾患を有する群(循環器群)とし,それ以外は循環器疾患を有さない群(非循環器群)として,患者背景,手術内容,術後経過についてretrospectiveに比較検討した.術後合併症はClavien-Dindo分類(CD)を用いて評価した.【結果】循環器群は34例,非循環器群は79例であった.循環器群の年齢の中央値は80歳(75~92歳),非循環器群では80歳(75~92歳)であった(p=0.828).循環器群の男性は22例(65%),非循環器群では28例(35%)であり,循環器群で有意に男性の比率が高かった(p=0.004).腫瘍局在部位,Clinical Stageや腫瘍の大きさなどの腫瘍学的因子や術式には両群で有意差はなかった.循環器群の手術時間の中央値は228分(107~372分),非循環器群は241分(114~525分)(p=0.341),循環器群の出血量の中央値は22.5ml(0~581ml),非循環器群は25ml(0~2077ml)(p=0.687),循環器群の術後在院日数の中央値は10日(6~59日),非循環器群は9日(5~230日)(p=0.484)であり,両群に有意な差は認めなかった.術後合併症は,循環器群では,なし/I-II/III以上が26例(76%) / 4例(12%) / 4例(12%),非循環器群では51例(65%) / 22例(28%) / 6例(8%)であり,両群に有意な差を認めなかった(p=0.162).【結語】循環器疾患を有する高齢者の腹腔鏡下結腸切除術は安全に施行しうる可能性が示唆された.
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