演題

維持透析患者に対する待機的な大腸悪性腫瘍手術の短期成績

[演者] 平松 聖史:1
[著者] 雨宮 剛:1, 後藤 秀成:1, 関 崇:1, 陸 大輔:1, 藤枝 裕倫:1, 河南 晴久:1, 鈴木 優美:1, 牛田 雄太:1, 新井 利幸:1
1:安城更生病院 外科

【はじめに】慢性腎疾患によって維持透析を導入している患者に対する侵襲の大きい全身麻酔手術は一般的に危険性が高いと考えられている.しかし,その危険性に関する具体的な検討はあまり多くない.今回,我々は維持透析中の患者における大腸悪性腫瘍に対する待機的手術の術後合併症について検討を加えた.
【対象と方法】当院において2005年1月から2015年12月までの11年間に慢性腎疾患があり維持透析をしている患者に対し施行された大腸悪性腫瘍の待機的手術は16例であった.(以後,透析群) 同期間に施行された透析患者を除く全症例 1057例(以後,対照群)と比較して,術後の合併症,在院日数につき比較検討をした.透析群 16例の内訳は,男性12例,女性4例.平均年齢は,69.4 ± 6.6 歳 (range: 57-83).15例が大腸癌,1例がGISTであった.腫瘍の主座は,A:1,T:1,D:1,S:6,Rectum:7 であった.術式の内訳は,右結腸切除:2,左結腸切除:1,S状結腸切除:6,高位前方切除:2,低位前方切除:2,Hartmann:1,Mile's:2 であった.
【結果】Clavien-Dindo分類 GradeⅢ以上の術後合併症は,透析群16例のうち3例(18.8%)に認めた.そのうち,1例は敗血症による手術直接死亡(GradeⅤ)であった. 2例に縫合不全を認めた.1例はドレナージで軽快(GradeⅢa),もう1例は人工肛門造設術を施行した(GradeⅢb).対照群のCDⅢ以上の合併症は1057例中109例(10.3%)で透析群と有意差を認めなかった.透析群の術後在院日数の平均は,18.2 ± 14.5日(range: 6-66)であった.対照群の17.4± 14.5日と比較し有意差を認めなかった.
【結論】透析患者の待機的大腸手術は,周術期の慎重な管理を要するが,非透析患者と比較して合併症の発生頻度,入院期間に有意差を認めず,安全に施行しうることが示唆された.
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