演題

Leriche症候群を合併した大腸癌の3例

[演者] 白鳥 広志:1
[著者] 室野 浩司:1, 田中 敏明:1, 清松 知充:1, 畑 啓介:1, 川合 一茂:1, 野澤 宏彰:1, 石原 聡一郎:1, 渡邉 聡明:1
1:東京大学附属病院 腫瘍外科

【はじめに】Leriche症候群は,腎動脈分岐部以下の腹部大動脈から総腸骨動脈分岐部周辺までの慢性動脈閉塞症であり,下肢への血流は下腹壁動脈などの側副血行路により賄われる.Leriche症候群を有する患者に大腸癌の手術を行う場合,腸管吻合部の血流低下と下肢への側副血行路を損傷する危険性が問題となる.今回,Leriche 症候群を合併した3例の大腸癌に対し,術前CT angiographyと超音波検査により側副血行路を同定し,内腸骨動脈の開存状況により腸管吻合の可否を選択することで,安全に腹腔鏡補助下手術を施行することができたので報告する.
【症例1】70歳男性,下血を契機に直腸癌Raを発見された.術前CT angiographyにて,大動脈は下腸間膜動脈分岐直下から両側内外腸骨動脈まで血栓閉塞を認め,両下肢の血流は,主に下腹壁動脈により還流されていた.両側内腸骨動脈の閉塞を認め,残存直腸の血流低下が予想されたため,腸管吻合は行わず腹腔鏡補助下ハルトマン手術を施行した.腹腔ポート挿入時に下腹壁動脈を損傷しないよう,術前に超音波検査で同血管をマーキングした.【症例2】70歳男性,イレウスを契機に横行結腸癌,S状結腸癌,直腸癌Raを指摘された.術前CTにて大動脈は腎動脈分岐部直下から両側内外腸骨動脈までの血栓閉塞を認めた.症例1と同様に,術前超音波検査で下腹壁動脈をマーキングし,腹腔鏡補助下ハルトマン手術を施行した.【症例3】61歳男性,直腸癌Raを認め,術前CTにて左総腸骨動脈から内外腸骨動脈に血栓閉塞を認めた.同症例も同様に左下腹壁動脈の術前マーキングを施行した.本症例は右内腸骨動脈が開存していたことより腹腔鏡補助下直腸前方切除術を施行し人工肛門は造設しなかった.いずれの症例においても術後経過は良好で,合併症なく経過した.
【まとめ】Leriche症候群を有する患者に,大腸癌の手術を行う場合,術前にCT angiographyと超音波検査を施行することは,安全に腹腔鏡補助下手術を行う上で重要であると考えられた.
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