演題

PD05-1

IPMN術後再発様式に関する検討

[演者] 小泉 亘:1
[著者] 北郷 実:1, 阿部 雄太:1, 八木 洋:1, 日比 泰造:1, 篠田 昌宏:1, 板野 理:1, 北川 雄光:1
1:慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科

背景
IPMNの病変範囲診断および切離範囲の決定はしばしば困難である.当科ではEUS, IDUS,POPSなどの術前画像診断によるシミュレーションと,術中迅速病理診断を併用して切除範囲を最終的に決定している.切除断端は,dysplasia (gradeは不問)が指摘されれば,陰性が確認されるまで追加切除を行う方針としているが,迅速病理診断の不確実性を考慮する必要がある.
目的と方法
2000年1月から2016年11月まで,術後IPMNと診断された73例を対象とした.適切な切除範囲決定のために,残膵IPMNの有無,切除断端の病理組織が,術後再発様式とどのように関連するかを検討した.残膵IPMNの有無(Y or N),切除断端陽性(dysplasia, gradeは不問)の有無(Y or N)について4群に,さらに膵全摘,残膵全摘例を加えた6群に分けて検討した.
結果
IPMN 73例は,男性48, 女性25人,平均年齢68歳 (41-85)であった.浸潤癌37例,非浸潤癌20例,上皮内癌1例,腺腫15例であった.術式は,膵頭十二指腸切除38例,尾側膵切除23例,膵全摘8例,中央切除2例,残膵切除2例であった.再発は15例(20.5%)で,浸潤癌11例, 非浸潤癌3例, 腺腫1例であった.Y/Y群は9例で,5例(55.6%)に再発を認めた.再発様式は2例に断端・残膵再発,2例に残膵IPMN由来の再発を認めた.術後診断N1(1群リンパ節転移)の1例に肺転移再発をきたした.Y/N群の11例は,術後診断N1の1例 (9.1%)にリンパ節再発を認めた.N/Y群は11例で2例(18.2%)は残膵再発を認めた.うち1例は追加切除を行うも断端にIPMNを認めた症例で,もう1例は断端の術中迅速で過形成性変化,最終診断でlow-grade dysplasiaと診断された症例である.N/N群の32例は,術後診断N1の2例(6.3%)が傍大動脈周囲などのリンパ節再発をきたした.1例はSMA周囲のリンパ節再発と肺転移再発を認めたが,術後診断N0であった.膵全摘の8例は,3回の追加切除後膵全摘となった1例と,非浸潤癌で術後診断N1の計2例(25%)に遠隔転移(肝,骨)再発を認めた.残膵癌の全2例(100%)は肺転移再発をきたした.
結語
残膵IPMNは術後も注意深くフォローする必要がある.断端陽性例は局所再発をきたす頻度が高く,追加切除により十分な切除マージンを確保する必要がある.膵全摘は残膵再発の懸念がなく,局所制御の点でも優れる.ただし,QOLの低下をきたすことがあり,一定頻度で遠隔転移をきたすこともあり,慎重な適応検討が必要である.
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