演題

PD04-10

肝硬変併存肝細胞癌に対する腹腔鏡下肝切除術

[演者] 金沢 景繁:1
[著者] 清水 貞利:1, 高台 真太郎:1, 村田 哲洋:1, 日月 亜希子:2, 久保 尚士:2, 玉森 豊:2, 井上 透:2, 西口 幸雄:2, 塚本 忠司:3
1:大阪市立総合医療センター 肝胆膵外科, 2:大阪市立総合医療センター 消化器外科, 3:大阪市立十三市民病院 外科

【はじめに】肝硬変(LC)併存肝細胞癌(HCC)に対し腹腔鏡下肝切除術を安全に施行するには,正常肝と比較してより慎重な手術戦略が重要である. 当院では,これまで正常肝から硬変肝へstepwiseに適応拡大しながら520例の腹腔鏡下肝切除を施行してきた.当院でのLC併存HCCに対する手術戦略およびその手術成績を報告する.【手術戦略】我々のLC併存HCCに対する腹腔鏡下肝切除の適応はChild B以内で,術前シミュレーションで,授動操作や残肝の阻血領域を最小限にとどめうる症例としている.術中は腹腔内外の側副血行の有無,部位を確認し,至適なトロッカー部位から手術を施行するが,前下区域症例では担癌グリソン枝をメルクマールに腹腔鏡のcaudal approachからの拡大視野を活かした"cone unit resection"を原則とし,後背側区域症例では肝静脈をメルクマールに担癌グリソン枝にアプローチし,原則Pre凝固,Pringle下に肝離断を行う.【手術成績】当院でのHCCに対する腹腔鏡下肝切除360例のうちLC併存例は142例で, Child Bの高度LC併存HCC症例は27例であった.他臓器合併切除例を除いた腹腔鏡下非系統切除術220例を, LC併存例110例(LC群)と非併存110例(非LC群)に分類し,術後短期成績を検討したところ,術前の肝予備能検査はICG15分値(LC群18%/非LC群10%; p<0.05)を含めLC群で有意に不良であった.切除肝重量(LC群22g/非LC群32g; p<0.05)は非LC群で大きかったが,切除腫瘍径(LC群2.1cm/非肝LC群2.0cm),手術時間(LC群235分/非LC群255分),術中出血量(LC群80ml/非LC群90ml)に差はみられなかった.術後,LC群でGrade Iの胸腹水が有意に多くみられたが(LC群20例/非LC群5例; p<0.05),Grade II以上の合併症の頻度に差はなく(LC群6.3%/非LC群4.5%),術後在院日数(LC群10日/非LC変群9日)にも差は見られなかった.またChild B症例に対する腹腔鏡下肝部分切除26例の手術成績を開腹下肝切除17例と比較したところ,Grade II以上の合併症の頻度は腹腔鏡下群が有意に少なく,開腹群において術後在院死を1例に認めたが,腹腔鏡群にはみられなかった.また術後在院日数も腹腔鏡下群で有意に短縮していた.【結論】LC併存HCC症例においても,術前シミュレーションを用いた慎重な適応決定と手術手技の工夫により,安全に腹腔鏡下肝切除を施行することが可能で,特に高度LC症例に対しては開腹下肝切除に対するそのアドバンテージを生かすことができうるものと考えられた.
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