演題

他部位結腸への浸潤を伴う大腸癌手術では,浸潤部位所属リンパ節郭清が必要である

[演者] 山根 大侍:1
[著者] 坂本 快郎:1, 八木 泰佑:1, 澤山 浩:1, 木下 浩一:1, 辛島 龍一:1, 岩槻 政晃:1, 馬場 祥史:1, 吉田 直矢:1, 馬場 秀夫:1
1:熊本大学附属病院 消化器外科

【背景と目的】 大腸癌治療において,根治を得るには外科的切除が最も重要である.しかし,他部位の結腸に浸潤を伴う大腸癌手術において,浸潤部位の所属リンパ節郭清の意義については報告を認めない.今回,浸潤部位所属リンパ節郭清の意義を検討したので報告する.
【対象と方法】2005年3月から2014年8月までに当院で他部位への結腸浸潤を伴い合併切除を施行した8例を対象として,臨床病理学的因子および再発との関連を後ろ向きに検討した.
【結果】男性3例,女性5例で平均年齢は72歳 (47~90歳)であった.全例術前化学療法は施行していなかった.平均腫瘍径は77.8mm (50~105mm)であり,高分化~中分化型腺癌5例,低分化型腺癌1例,粘液腺癌2例であった.原発部位および浸潤部位は虫垂(上行結腸浸潤)1例,上行結腸(横行結腸浸潤)2例,横行結腸(下行結腸浸潤)1例,S状結腸(盲腸,上行結腸浸潤)1例,直腸(S状結腸浸潤 1例,盲腸,上行結腸浸潤 2例)3例であった.6例で原発および他部位結腸浸潤部位のR0切除が施行された.2例で原発および他部位結腸浸潤部位の切除を施行したが,遠隔転移(腹膜播種1例,肝転移1例)のためR2切除となった.術式は回盲部切除1例,右半結腸切除2例,左半結腸切除1例,前方切除3例,骨盤内臓全摘出術が1例であった.リンパ節郭清は原発に対しては全例でD3郭清,他部位結腸浸潤に対しては5例においてD2郭清(D2群)を施行し,3例では系統的郭清は施行されなかった(D0群).D2群5例中の1例に浸潤部位所属リンパ節転移を認め,D0群3例中2例に浸潤部位領域リンパ節再発を認めた.浸潤部位所属リンパ節転移症例において臨床病理学的因子との有意な関連は認めなかったが,原発の領域リンパ節転移を有する症例は浸潤部位所属リンパ節に転移もしくは再発を認めた.今回の研究のlimitationとしては症例が8例と少数であること,単一施設,後ろ向き研究であることがあげられた.
【結語】他領域結腸浸潤を伴う大腸癌において,根治切除を行うためには浸潤部位所属リンパ節の郭清が必要であると考えられる.
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