演題

他臓器浸潤大腸癌に対する腹腔鏡下手術の短期成績

[演者] 佐村 博範:1
[著者] 新垣 淳也:1, 原 鐵洋:1, 堀 義城:1, 長嶺 好哲:1, 古波倉 史子:1, 西垣 大志:2, 伊禮 靖苗:2, 金城 達也:2, 西巻 正:2
1:浦添総合病院 外科, 2:琉球大学大学院 消化器・腫瘍外科学

【はじめに】大腸癌はしばしば隣接臓器浸潤を伴う事があり,同臓器の合併切除を余儀なくされる事がある.癌遺残を無くすことで成績の向上が期待できることから浸潤臓器の合併切除が望まれる.これまで精嚢浸合併切除,子宮両側附属器合併切除,膣後壁合併切除,膀胱壁合併切除を経験したので報告する.【目的】隣接臓器合併切除の術後短期成績を明らかにする.【方法】施術時の切除範囲は予め画像検査で予想しているが,実際には鉗子による触診で決定した.それぞれの術式を手術時間,出血量,輸血量,術後合併症,術後在院日数,短期予後で評価する.【成績】精嚢合併切除,膣後壁合併切除,子宮両側附属器合併切除,膀胱壁合併切除はそれぞれ5例,3例,2例,1例であった.原発巣は膀胱壁合併切除がS状結腸癌で他は全て直腸癌であった.以下,結果を精嚢/膣後壁/子宮附属器/膀胱の順に示す.平均年齢61歳,67歳,55歳,74歳.平均手術時間は542,67,596,249minであり,平均出血量は455,303,610,10mlであり,輸血を要したのは子宮附属器合併切除の1例のみであった.平均術後在院日数は45,45,31,15日であった.術後合併症は6例で有り,内容はそれぞれ創傷治癒遅延,縫合不全/直腸膣瘻,縫合不全/直腸膀胱瘻,術後イレウス,乳び腹水であり,いずれも保存的治療で改善した.合併症症例での平均在院期は56日(38-88),合併症なしで20(14-29)日であった.観察期間の中央値は329日(58-1666)であり,局所再発は無かった.stage IVの精嚢合併切除と子宮両側附属器合併切除のそれぞれ1例以外は無再発生存である.【考察】合併症はそれぞれ保存的に改善しているが,が6例(55%)と高率であり,術後在院期間の延長に繋がっていた.局所再発はなく,切除範囲は十分で有ったと判断する.周囲浸潤がんであっても,腹腔鏡下の鉗子操作での触診で切除線の決定は可能でmargin freeの切除が可能であると思われた.手術時間が延長しており,合併症症例で在院期間が延長しているが,経時的に手術時間は短縮され,出血量も減少傾向にあるので,今後手技の習熟と共に改善が見込まれる.【結論】腹腔鏡下での隣接臓器合併切除は有用であると思われる.
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