演題

局所進行結腸癌に対する腹腔鏡下手術の検討-T4症例における治療成績と予後因子-

[演者] 山梨 高広:1
[著者] 中村 隆俊:1, 島津 将:1, 筒井 敦子:1, 三浦 啓壽:1, 内藤 正規:1, 佐藤 武郎:1, 渡邊 昌彦:1
1:北里大学医学部 外科

【背景】進行結腸癌に対する腹腔鏡下手術は,本邦のJCOG0404試験を含め,海外からの臨床試験から安全性や長期成績が報告され,現在広く普及するに至った.しかし局所進行例に対する手術難度は高く,安全性や治療成績,予後因子については,いまだ明らかにされていないのが現状である.
【目的】直腸S状部を含む局所進行結腸癌T4症例に対する腹腔鏡下手術の治療成績,予後因子を明らかにする.
【症例と方法】2005年1月~2012年12月までに,腹腔鏡下根治手術が施行された盲腸癌,上行結腸癌,S状結腸癌,直腸S状部癌のpT4症例117例.遠隔転移例と低位前方切除術を要した直腸S状部癌は除外し,その治療成績,予後因子を検討した.
【結果】平均年齢は64歳,性別は男性66例(56.4%),女性51例(43.6%).腫瘍占居部位は盲腸20例(17.1%),上行結腸27例(23.1%),S状結腸58例(49.6%),直腸S状部12例(10.3%)で,術式は回盲部切除15例(12.8%),結腸右半切除32例(27.4%),S状結腸切除58例(49.6%),高位前方切除12例(10.3%)であった.全症例にD3リンパ節郭清が施行された.病期はpStage II 43例(36.8%),pStage IIIa 48例(41.0%),pStage IIIb 26例(22.2%)で,74例(63.2%)にリンパ節転移を認めた.手術時間は中央値で205分(132-460),出血量は10ml(5-655),術後在院日数は7日(4-278)であった.Clavien-Dindo分類gradeII以上の合併症は12例(10.3%)に発症し,縫合不全を3例(2.6%)に認めた.観察期間中央値は61か月(12-131).5年無再発生存率(RFS)は60.4%で,5年疾患特異的生存率(DSS)は77.8%であった.多変量解析にてRFSに関する予後因子として,リンパ節転移(pN0/pN1-3, HR 5.53, 95%CI 2.05-14.89, p<0.01), 性別(女性/男性, HR 2.17, 95%CI 1.15-4.12, p=0.017)の2項目が,DSSに関する予後因子として,リンパ節転移(pN0/pN1-3, HR 5.51, 95%CI 1.80-16.89, p<0.01), 性別(女性/男性, HR 3.51, 95%CI 1.54-8.01, p<0.01), 占居部位(Lt/Rt, HR 2.79, 95%CI 1.35-5.75, p<0.01)の3項目がそれぞれ抽出された.再発は46例(39.3%)に認められ,初発再発部位は,肝14例,腹膜10例,肺9例,傍大動脈リンパ節8例,局所5例,(重複症例あり)の順であった.
【結語】直腸S状部を含む局所進行結腸癌T4症例に対する腹腔鏡下手術は,短期成績において安全に施行可能と考えられた.長期成績では再発が39.3%と高率であり,各症例による対応策の検討が必要と考えられた.
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