演題

cT4b大腸癌に対する腹腔鏡下手術症例の検討

[演者] 中原 健太:1
[著者] 日高 英二:1, 大宮 俊啓:1, 石山 泰寛:1, 島田 翔士:1, 前田 知世:1, 向井 俊平:1, 澤田 成彦:1, 石田 文生:1, 工藤 進英:1
1:昭和大学横浜市北部病院 消化器センター

【背景】進行大腸癌手術で腫瘍の浸潤を疑い(cT4b)他臓器合併切除を要する症例を経験することがあるが,cT4b大腸癌に対する腹腔鏡下手術の安全性と有効性は現時点で十分に証明されていない.【目的】cT4b大腸癌手術症例を検討し,腹腔鏡下手術の適応を明らかにする.【対象と方法】2001年~2016年に当院にて手術を施行したcT4b大腸癌手術症例185例中,腹腔鏡下手術を試みた46例を対象とした.膵頭十二指腸切除術,骨盤内臓全摘術,非切除症例は除外し,同時期に同様の他臓器合併切除を施行した開腹手術114例と比較して手術関連因子,局所再発について後方視的に検討した.【結果】手術根治度は根治度A/B/C 35例(76.1%)/5例(10.9%)/6例(13.0%).組織学的断端陽性例は2例(4.3%)のみであった.開腹移行が12例(26.1%)あり,開腹移行の理由としては高度癒着,尿管再建や膀胱三角部付近での再建,子宮全摘が必要な症例であった.腹壁,消化管,肝臓,膀胱,子宮,膣の部分切除を腹腔鏡下に施行可能であった34例では,腹腔鏡下手術が完遂可能であった.開腹手術例と比較したところ,出血量(腹腔鏡109.5ml / 開腹350.0ml),手術時間(腹腔鏡196.5分 / 開腹208.0分),術後在院日数(腹腔鏡9.5日 / 開腹14.0日),Clavien-Dindo分類 GradeⅡ以上の合併症率(腹腔鏡6.21% / 開腹14.5%)であり,手術関連因子に大きな差は認めなかった.また,腹腔鏡下に手術完遂できた症例では局所再発は1例も認めていない(観察期間中央値22.3ヶ月)【考察】cT4b大腸癌に対して,複雑な再建を要さず腹腔内臓器の部分的合併切除のみで切除可能な症例であれば,手術関連因子においては問題なく,腹腔鏡下に手術できる可能性がある.また,これらの症例において観察期間中に局所再発を認めていないが,長期的予後に関してはさらなる検討を要すると思われる.【結語】他臓器の部分的合併切除により摘出可能な大腸癌に対して,腹腔鏡手術の適応を拡大できる可能性がある.
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