演題

大腸外科領域における修復必須な血管・神経を合併切除した4症例の検討

[演者] 石川 博文:1
[著者] 富田 理子:1, 高 済峯:1, 向川 智英:1, 中多 靖幸:1, 切畑屋 友希:1, 竹井 健:1, 定光 ともみ:1, 松阪 正訓:1, 渡辺 明彦:1
1:奈良県総合医療センター

【目的】当科では大腸癌の初発,再発にかかわらず手術を含む集学的治療を積極的に行い,その成績を国内外で報告してきた.大腸外科領域には修復必須な血管・神経が存在し,手術適応のハードルとなっている.今回,修復が必須とされる修復必須な血管・神経した合併切除した4症例を報告する.
【1.SMA合併切除】50歳台男性.主訴は腹痛.進行横行結腸癌でSMA周囲にリンパ節転移を伴っていたため,横行結腸のみを切除し,化学療法を行った.いったんCRとなったが導入後2年半でSMA周囲リンパ節転移が再燃した.膵頭十二指腸切除+SMA&SMV合併切除を行い,SMAは脾動脈コンバージョンで再建した.術後8か月生存した.
【2.総腸骨動脈合併切除】40歳台女性.S状結腸癌の穿孔で切除術を受け,その後2度の転移再発を切除した.初回切除から3年後,PET-CTで総腸骨動脈に浸潤する局所再発が同定された.再発巣と総腸骨動脈を合併切除し,内腸骨動脈は縫合閉鎖し,外腸骨動脈を人工血管で置換した.術後9年半無再発生存中である.
【3.大腿神経再建】50歳台女性.主訴は右下腹部腫瘤の触知.CTでは大腿神経:腸腰筋に深く浸潤した進行盲腸癌であり,CA19-9は高値のため測定不能だった.病巣摘除時に,背側の大腿神経が摘除された.バックテーブルで剥離し,吻合した.良姿位を保った後,リハビリを行い,現在神経学的にも回復している.肺転移も切除し,現在術後9年無再発生存中である.
【4.坐骨神経合併切除】50歳台男性.主訴は排便時痛.坐骨神経:水腎症を伴った側方進展型直腸癌に対し,DJを留置し5ヶ月間放射線化学療法を行った.遠隔転移なし,腫瘍上縁はS2以下,万一坐骨神経が温存できなくて上半身の筋力でカバーは可能なことから,手術適応ありと判断とした.仙骨合併骨盤内臓全摘術を行った.この際坐骨神経も摘除されたが,術前の見込み通り,上半身の筋力で杖歩行可能である.術後1年6か月無再発生存中.
【結論】大腸外科領域で,修復必須な血管・神経を合併切除した4症例を経験した.動脈の再建は生存に必須であり,神経はQOLを保つために重要である.少数例の検討であるが,手術には手術適応の適切な判断と大腸外科医だけでなく肝胆膵外科医,血管外科医や整形外科医の協力・連携が必須である.
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