演題

Tis(M)およびcT1(SM)早期大腸癌手術症例の検討 ~内視鏡的診断との関連性を踏まえて~

[演者] 酒田 和也:1
[著者] 太田 博文:1, 赤丸 祐介:1, 森本 脩邦:1, 瀧内 大輔:1, 和田 範子:1, 西田 謙太郎:1, 野々下 崇:1, 東口 公哉:1, 柴田 邦隆:1
1:市立池田病院 消化器外科

大腸癌において深達度cTis(M)およびcT1(SM)は,内視鏡的治療例と外科的治療例が混在する.大腸癌治療ガイドラインでは明確に内視鏡治療の方針が示され,それを満たさない場合に外科的治療が行われるが,治療後に内視鏡的診断と組織学的診断の乖離を認めることがしばしばある.
その詳細を明らかにするため,2011年から2015年に当科で外科的治療を施行したcTisおよびcT1早期大腸癌64例を,大腸癌治療ガイドラインの[cTis(M)癌またはcT1(SM)癌の治療方針](図)に従い,A群)内視鏡的摘除後の病理診断で追加切除,B群)内視鏡的一括摘除不可能で外科的切除,C群)cT1(SM)高度浸潤癌で外科的切除,の3群に分類し検討した.
A群は22例あり,臨床的壁深達度はcT1疑いが59.1%を占め,cT1aとcT1bの鑑別が困難なままでEMRを施行した症例が多かった.そのため,追加切除理由(重複含む)はpT1bが69.6%と最多で,ほか脈管因子陽性(39.1%)や断端陽性(17.4%)が多く,1例のみだが穿孔性腹膜炎のEMR合併症も認められた.
B群は5例のみで,腫瘍の局在や広がりによるもの2例,操作困難なもの2例,EMR中の出血で断念したもの1例で,いずれも比較的特殊な状況であった.
C群は37例あり,組織学的深達度は正診例(pT1b) 35.1%に対しpTis 27.0%・pT1a 8.1%と過剰診断例が同率であり,またpT2(MP)16.2%・pT3(SS)2.7%と過小診断例も少なくなかった.
内視鏡下通常観察におけるSM癌の正診率はエキスパート施設でも75%程度とする報告もあり,A群とC群の結果は内視鏡的SM診断,とくにT1bの診断の困難さを反映していると考えられた.これらの結果に文献的考察を加えて検討する.

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