演題

PD04-9

ICGR15を含む肝障害度による評価は腹腔鏡下肝表在腫瘍切除術適応可否の決定基準としては再考の余地がある

[演者] 守瀬 善一:1
[著者] 伊勢谷 昌志:2, 荒川 敏:2, 伊藤 良太郎:2, 浅野 之夫:2, 永田 英俊:2, 川辺 則彦:2, 冨重 博一:2, 堀口 明彦:2
1:藤田保健衛生大学医学部 一般外科学講座(総合消化器外科), 2:藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 外科

ICGR15は幕内基準・肝障害度分類の中核であり,開腹下・腹腔鏡下いずれにおいても肝切除術時の肝組織可能切除量決定の簡便かつ極めて鋭敏な指標である.一方で,腹腔鏡下手術においては,非癌肝組織が殆ど切除されない肝表在腫瘍核出(部分切除)術では局所療法としての手術自体の生体侵襲は開腹下に比べて低いことが,殊に側副血行リンパ行路の増生した肝硬変症例で予想される.
完全腹腔鏡下肝切除慢性肝障害併存肝細胞癌80例,腫瘍個数1-4個,径0.8-14.5cm,ICGR15 20%超36例,系統切除21例,再肝切除23例(3回以上肝切除7例),手術時間中央値288分,出血100ml,在院日数16日,開腹・HALS移行2・1例,GradeII以上合併症10例であった.内,2例のICG排泄障害例を除くICGR15 40%超症例12例は,肝障害度B,C各6例,Child-Pugh A(6)1例,B(7)4例,B(8)2例,B(9)3例,C(10)2例で,腫瘍個数1-2個,径1.1-4.1cm,肝表在腫瘍に対する部分切除を施行(再切除3例)した.手術時間232分,出血50ml,在院日数15日,HALS移行1例,GradeII以上合併症1例(胆嚢炎)で,中軽度肝障害例と周術期諸因子に有意差を認めなかった.肝障害度,Child-Pugh共にCの2症例は,ビリルビンが2より高値で,過去に複数回の加療を要する脳症または腹水貯留の既往があるが最近半年以上は極めて良くコントロールされて通常の日常生活を行っている症例であった.肝障害度のみがCとなった4例は何れもICGR15とAlbのみでCに該当した症例であった.
高度肝障害併存肝細胞癌例に対して,患者PS(安定して就労・家事可能)を腹腔鏡下肝切除適応選択として重視し,腹腔鏡特有の覗き込む視野と体位変換を利用して,剥離授動範囲を最小限にする.肝の圧排操作を最小限にする.基本的に肝阻血を行わない.点を重視した手術を行っている.Child-Pugh scoreは患者PSによる適応選択とよく相関し,Child-Pugh C(10)以下PS良好症例でのBare area外肝表在腫瘍核出(部分切除)術は比較的安全に施行できている.ICGR15は3-40%までの範囲で肝組織可能切除量決定には極めて良い指標である.しかし,腹腔鏡下肝表面腫瘍切除における最小限に侵襲の低下した切除術に対する認容性に関しては,ICGがやや正確性を欠く40%超の範囲での判断になる可能性が高く,肝障害度分類が必ずしもその基準にはならない可能性があると考えられた.
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