演題

当院における早期大腸癌内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)治療後の外科的追加切除に関する検討

[演者] 末次 智成:1
[著者] 松橋 延壽:1, 高橋 孝夫:1, 松井 聡(岐阜大学大学院):1, 棚橋 利行:1, 今井 寿:1, 田中 善宏:1, 山口 和也:1, 長田 真二:1, 吉田 和弘:1
1:岐阜大学附属病院 第2外科

【目的】2012年4月に大腸悪性腫瘍に対するESDが保険認可されて以降急速に普及した.一方で大腸癌治療ガイドラインにおいて内視鏡治療後の病理組織学的検査結果で垂直断端陽性,SM浸潤1,000μm以上,脈管侵襲陽性,浸潤先進部における簇出Grade2/3の場合は外科的追加切除が推奨されており,ESD後の外科的追加切除症例をしばしば経験するようになった.そのため当院におけるESD後の外科的追加切除施行した症例について治療の妥当性および安全性について検討した.
【対象】2011年1月~2015年12月までの5年間で当院において早期大腸癌に対してESDを施行された399例のうち,当科で外科的追加切除を行った23例(5.8%).
【結果】平均年齢は65.5歳,男女比は11:12,腫瘍局在部は上行結腸/横行結腸/下行結腸/S状結腸/直腸 3/2/1/6/11であった.特にRb症例は7例(30.4%)認めた.ESDで切除された平均腫瘍径は長径32.0mm,短径23.6mmで50mmを超える腫瘍は13例(56.5%)あったが,全て一括切除されていた.切除された病理型はtub1/tub2 17/6例であり,追加切除理由は垂直断端陽性:2例,SM浸潤1,000μm以上:15例,リンパ管浸潤:15例,静脈浸潤:3例,簇出Grade2/3:3例で,複数の追加切除理由が存在する症例は10例であった.手術は全例で腹腔鏡下手術を施行していた.直腸病変が多く術式も内肛門括約筋切除(ISR)6例(26.1%),低位前方切除術5例(21.7%)で約半数を占めていた.平均手術時間は247.6分,術後合併症は3例(13.0%)に認めたが,Clavien-Dindo分類における3b症例はなく,縫合不全も認めなかった.リンパ節の郭清範囲はD3:2例(8.7%),D2:21例(91.3%),平均郭清リンパ節数は11.7個,リンパ節転移症例は1例(4.3%)のみでESD後の病理で脈管侵襲陽性を指摘されていた.ESD後の腫瘍残存は4例(17.3%)に認めた.術後平均観察期間は26.0ヶ月であり,1例(4.3%)に肺遠隔転移再発を認めた.
【考察】外科的追加切除後の局所再発およびリンパ節再発は1例もなく治療としては腫瘍学的においても妥当と判断できた.また直腸癌における腹腔鏡手術も安全に施行できており,さらに全例肛門温存できていた.大学病院という特徴もあり下部直腸癌におけるESD治療対象の紹介症例が多いため,紹介医並びに患者は肛門機能を温存できることを期待して受診することが多く,この点を踏まえると特に下部直腸においては内視鏡治療医と外科医とが密に連携しESD治療を行うことが寛容であると考える.
詳細検索