演題

腹腔鏡補助下S状結腸人工肛門造設時の内ヘルニア予防を目的とした腹壁縫合固定法の検討

[演者] 遠藤 久仁:1
[著者] 金田 晃尚:1, 菊池 智宏:1, 楡井 東:1, 花山 寛之:1, 佐瀬 善一郎:1, 丸橋 繁:2, 河野 浩二:1
1:福島県立医科大学 消化管外科学講座, 2:福島県立医科大学 肝胆膵・移植外科学講座

【はじめに】 1958年にGoligherがextraperitoneal colostomyを考案しlateral gutterに腸管がはまり込むスペースをなくす手技を報告した.その手技により内ヘルニアの減少が報告され,S状結腸の単孔式ストーマを作る際,腹膜外経路を通す手技が広まった.しかしながら,腹腔鏡手術を施行する際,腹腔鏡補助下に腹膜外経路を作成し腸管を挙上することは困難であり,腹膜外経路を通さずストーマを直接挙上する施設が増えている.われわれは腹腔鏡補助下にS状結腸単孔式ストーマを作る際,内ヘルニアの予防をするため挙上結腸を腹壁に縫合固定する手技を開始した.その手技と成績について報告する.
【手技】ハルトマン手術を施行した症例に対し,下行結腸外側から腸管が腹壁を貫通する部まで,吸収性もしくは非吸収性の有棘縫合糸を用いて連続縫合にて腹壁へ固定する.
【症例・検討方法】2009年1月から2016年11月までのハルトマン手術症例61例で検討を行った.人工肛門造設方法の内訳は腹壁固定が8例(開腹2例,腹腔鏡6例),腹膜外経路が20例(開腹20例,腹腔鏡0例),直接挙上が33例(開腹29例,腹腔鏡4例)であった.術後のストーマ関係の合併症,再診時のCTを用いたS上結腸外側に存在する小腸の落ち込み,腹壁への縫合固定に要した時間を検討した.
【結果】Clavien-Dindo分類で Grade III以上の合併症は,腹壁固定症例では認めなかった.腹膜外経路症例にストーマ壊死のための再増設術を1例認め,直接挙上症例にストーマ腸管外側に小腸が入り込む内ヘルニアのために手術を施行した1例が認めた.術後のCT評価が可能であった症例でストーマ腸管が腹壁と離れていたのは,腹壁固定例で1例(1/6例)認め,腹膜外経路症例は全例でストーマ腸管が腹壁に密着していた.直接挙上例で,ストーマ腸管外側に腸管が入り込んでいた症例は11例(11/26例)であった.腹壁固定の操作時間は術者Aで平均18分,術者Bで平均30分であったが,learning curveを認め,慣れれば15分程度で行えると考えられた.
【結語】単孔式S状結腸ストーマを作る際,腹腔内経路で挙上した腸管を腹壁へ縫合固定する手技は,大きな合併症もなく,腹膜外経路を通して挙上する手技の代わりになる可能性が示唆された.
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