演題

PD04-8

当科における術前シミュレーションと術中ナビゲーションを活用した腹腔鏡下肝切除

[演者] 野見 武男:1
[著者] 北東 大督:1, 安田 里司:1, 吉川 高広:1, 川口 千尋:1, 石岡 興平:1, 赤堀 宇広:1, 山田 高嗣:1, 金廣 裕道:1, 庄 雅之:1
1:奈良県立医科大学附属病院 消化器・小児外科・乳腺外科

緒言】本年4月の保険収載の大幅な改定により腹腔鏡下肝切除の適応が拡大している.また,開腹手術と同等あるいは良好な切除成績が報告されている.しかしながら,腹腔鏡下肝切除では,触覚の欠如やモニター画面を通じての視覚認識等により,脈管や切除ラインの誤認が起こりやすく,重大な合併症に繋がる危険性も有している.こうした危険を回避するため,当科においては,3D画像構築による術前シミュレーション,ICG を用いた術中ナビゲーションなどの画像支援を積極的に活用している.【目的】当科における腹腔鏡下肝切除における画像支援の現状を報告するとともに,成績を検討した.【対象と方法】術前にはMDCT,EOB-MRI,ソナゾイド造影エコー検査に加えて,SYNAPSE VINCENT® (Fujifilm Medical Co., Tokyo, Japan) における3D画像構築を行う.尾側方向からの腹腔鏡下視野に加えて体位変換を考慮した画像構築を行うことで,実際のモニター画面に近い解剖認識が可能となる.手術2日前にICGを静注し,ICGシステム(PINPOINT, NOVADAQ Technologies Inc, Toronto, Canada)を用いて術中腫瘍同定に用いる.エコー検査の再現性が困難な部位,特に肝頭背側に位置する腫瘍を,real-timeに確認しながらの切除は有用である.また,系統的切除では,担癌グリソンをクランプ後,ICGを静注することで,実質内の区域間が明瞭に描出され,切離ラインを誤ることなく正確な離断が可能となる.3D画像構築に加えてICGシステムを導入した2016年3月以降の症例をA群,以前をB群として周術期成績を比較検討した.【結果】①A群27例,B群73例.年齢,疾患,併存疾患,肝予備能に差は認めなかった.A群で有意に腫瘍個数が多く(p=0.042),高難度手術が多く施行されていた(13 vs. 0例,p<0.0001).術中出血量は,B群250ml(10-3120)に比較してA群198ml(0-2250)で有意に少なかった (p<0.0001).手術時間(286 vs. 264分),術後合併症発生率(22.2 vs. 16.4%),術後在院日数(7 vs. 8 days)において両群間に差は認めなかった.②肝表面単発腫瘍に対する部分切除.前期43例,後期8例.A群で手術時間が短く(244 vs. 215分,p=0.450),出血量が少ない(130 vs. 37ml,p=0.091)傾向が認められた.【結語】術前シミュレーションと術中ナビゲーションを活用することで,より安全に腹腔鏡下肝切除を施行し得る可能性が示唆された.
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