演題

PP9-3

当院におけるメッシュを用いた腹壁ヘルニア根治術の治療成績と合併症の検討

[演者] 竹村 真一:1
[著者] 土井 孝志:1, 神賀 貴大:1, 梶原 大輝:2, 佐藤 好宏:1
1:白河厚生総合病院 外科, 2:石巻赤十字病院 外科

【目的】腹壁瘢痕ヘルニアを中心とした腹壁ヘルニア根治術(VHR)には現在,メッシュを用いたtension free手技が一般化している.また2012年4月より腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア根治術が保険収載され,腹腔鏡下手術も急速に普及している.当院では2006年より腹壁ヘルニアに対してメッシュを用いたVHRを積極的に導入している.しかしながらメッシュを用いたVHRは,再発率は有意に低下するが,長期的な関連合併症が問題とされてきている.
そこで過去10年間,当院で施行したVHR施行例の治療成績と合併症について検討した.
【対象】当院で2006年4月~2016年3月に臍ヘルニアを含めた腹壁ヘルニアに対してメッシュを用いた修復術を施行した52症例を対象とした. このうち開腹腹壁ヘルニア根治術(O-VHR群)は23例 (腹壁瘢痕ヘルニア:18例,臍ヘルニア:5例),腹腔鏡下腹壁ヘルニア根治術(L-VHR群)は29例 (腹壁瘢痕ヘルニア:20例,臍ヘルニア7例,白線ヘルニア:2例)であった.なお同時期に開腹単純縫合閉鎖術(O-sututre群)を施行した症例は8例であった.
【手術手技】メッシュの留置法は開腹,腹腔鏡を問わずintraperitoneal onlay mesh(IPOM)法で行っている.メッシュの固定にはtackerと非吸収性糸を用いている.使用メッシュとtackerは時代の変遷と共に材質,形状が変化しておりスライドで供覧する.
【結果】術直後の早期合併症としてO-VHR群では術後肺炎:2例,SSI:1例,seroma:2例,腹水漏出:1例,皮下血腫:1例,L-VHR群ではseroma:6例であった.平均follow up期間はO-VHR群:24ヶ月,L-VHR群:22.3ヶ月であり,遅発性の合併症としてはO-VHR群では再発:3例,遅発性感染:2例,イレウス:2例,L-VHR群では再発:2例,イレウス:2例を認めた.再発率に関してはO-sututre群が25%であったのに対して,メッシュ使用症例(O-VHR群+L-VHR群)の再発率は9.6%であった.ただしO-VHR群のmesh遅発性感染のうち1症例は小腸瘻を合併し治療にも難渋したため,症例を提示する.
【結語】メッシュを使用したVHRは開腹単純縫合閉鎖術より再発率は低い傾向にあった.しかしながらメッシュの感染や癒着によるイレウスなどの重篤な晩期合併症はメッシュ使用例に多く,特に若年患者への使用は慎重にすべきである.またメッシュを使用する場合,L-VHR群ではSSIや遅発性感染症例を現在のところ認めておらず,腹腔鏡手術はメッシュ感染予防に寄与する可能性が示唆された.
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