演題

PP8-6

腹腔鏡下鼡径ヘルニア根治術後に5mmポート孔より生じたポートサイトヘルニアの1例

[演者] 村上 直孝:1
[著者] 日野 東洋:1, 中山 剛一:1, 岐部 史郎:1, 白水 和雄:1, 赤木 由人:2
1:JCHO 久留米総合病院 外科, 2:久留米大学医学部 胃・大腸外科

<緒言>近年,腹腔鏡下手術の普及に伴いさまざまな合併症が報告されている.ポートサイトヘルニアは比較的まれな腹腔鏡手術の合併症で,発症頻度は0.1~5.2%と言われている.その多くは径10mm以上のポート部から発症したものであるが,今回われわれは腹腔鏡下鼡径ヘルニア根治術後に5mmポート孔より早期に生じたポートサイトヘルニアの1例を経験したので報告する.
<症例>70歳代の女性.2016年左鼡径ヘルニアに対し,腹腔鏡下根治術(TAPP法)を施行.3ポートにて手術施行し,術中に数回の5mmポートの滑脱・再挿入が行われた.手術終了時に臍下部ならびに右下腹部の12mmポート部の腹壁は縫合閉鎖したが,5mmポート部は皮膚縫合のみ行った.術後2日目に排ガス停止し,嘔吐あり.術後4日目に左下腹部5mmポート部周囲の膨隆を認めた.CTにて小腸の拡張ならびに,左下腹部に腹壁を貫き皮下に連続する小腸を認めた.5mmポート部からの腹壁瘢痕ヘルニア嵌頓によるイレウスを診断し,同日に手術を施行した.
<手術>腹腔鏡下に腹腔内を観察し,5mmポート孔より小腸の嵌頓を認めた.ポート孔は10mm大に開大していた.愛護的に嵌頓を解除し,ヘルニア門となった前回ポート孔を縫合閉鎖した.嵌頓していた小腸に血流障害は認めず,腸切除は行わなかった.
<考察>ポートサイトヘルニアの原因としては,1.筋膜の不十分な縫合閉鎖,2.術中の腹膜・筋膜損傷,3.ポート抜去時の腸管・組織の嵌入,4.ドレーン抜去時の腸管・組織の嵌入,5.創感染などが考えられている.本症例では術中のポートの滑脱・再挿入を繰り返すことにより腹壁を損傷し,腹腔側のポート孔が広がったためと思われた.
<結語>術中のポート滑脱の際には,同一ルートで愛護的に再挿入すること,開大が疑われる場合には縫合閉鎖を加えることが重要である.
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