演題

PD04-7

腹腔鏡下肝切除は開腹肝切除と比べて適応を拡大できるのか? ―区域以上肝切除の術後データの比較から―

[演者] 長谷川 康:1
[著者] 新田 浩幸:1, 高原 武志:1, 梅邑 晃:1, 眞壁 健二:1, 秋山 有史:1, 岩谷 岳:1, 大塚 幸喜:1, 肥田 圭介:1, 佐々木 章:1
1:岩手医科大学医学部 外科学

【背景】 術後肝不全は肝切除後のもっとも重篤な合併症であり,肝予備能と肝切除範囲で予測される.腹腔鏡下肝切除術はその安全性が示され,亜区域切除・区域切除・葉切除に適応が拡大された.しかしながら,予備能と肝切除範囲の関係を開腹肝切除と比較した報告は非常に少ない.本研究の目的は,腹腔鏡下肝切除が開腹肝切除と比較して適応を拡大することができるのかを,術後データから検討するものである.
【方法】 対象は,2011年から2016年に当院で区域以上の肝切除(外側区域切除を除く)を受けた患者.完全腹腔鏡下肝切除(L群)と開腹肝切除(O群)をcase matchし,比較検討した.検討項目は,術前因子・術式・手術成績・術後短期成績・術後血液データとした.
【結果】L群・O群それぞれ30例について解析した.術式はそれぞれ,右葉14,左葉8,前区域5,後区域3であった.患者背景では,年齢・性別・診断・腫瘍径・腫瘍個数・ICG・血小板数・ビリルビン・アルブミン・AST・ALT・プロトロンビン時間・CRPに差を認めなかったが,BMIがL群で大きい傾向であった(22.0 vs 24.1 kg/m2, P = 0.07).手術成績では,手術時間がO群で短く(264 vs 318分, P < 0.01),出血量がL群で少なく(261 vs 110 mL, P < 0.001),術後在院期間がL群で短かった(13 vs 10日, P = 0.04).合併症率は両群で差がなかった.術後血液データでは,血清アルブミン値の低下がL群で有意に少なく(-1.6 vs -1.2 g/dL, P < 0.01),CRPの最大値が有意に低かった(9.6 vs 5.8 mg/dL, P < 0.001).血小板数・ビリルビン・アルブミン・AST・ALT・プロトロンビン時間に差を認めなかった.
【結語】 腹腔鏡下肝切除は開腹肝切除に比べて,術後アルブミン値の低下が軽度であり,CRPも低値であった.このことより,腹腔鏡下肝切除はより低侵襲であると言える.しかしながら,ビリルビン値やプロトロンビン時間などのそのほかの血液データに差はなく,腹腔鏡による肝切除の適応拡大の可能性については言及できない.
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