演題

PP8-1

臍切開による腹腔鏡下手術後に発生する腹壁瘢痕ヘルニアのリスク因子について

[演者] 中村 慶:1
[著者] 寒川 玲:1, 長田 寛之:1, 望月 聡:1, 中瀬 有遠:1, 北井 祥三:1, 稲葉 征四郎:1
1:市立奈良病院 外科

【はじめに】近年,Reduced Port Surgeryの普及に伴い,臍を小切開することが多く,整容性は良い一方で,臍部の腹壁瘢痕ヘルニア(IH)が問題となる.IHは,患者QOLを著しく損ない,嵌頓を起こせば,致死的になりうる.当院では,2014年4月より,腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)と腹腔鏡下虫垂切除術(LA)において,臍切開を導入している.そこで今回,臍切開による腹腔鏡下手術後のIH発生のリスク因子について検討した.【方法】2014年4月から2016年3月までの,臍切開によるLCおよびLA351症例のうち,術後6カ月以降に腹部画像評価が可能であった61例を対象にした.IH発生群と未発生群に分け,ヘルニア発生に関する臨床学的因子について比較検討した.また,今回我々は,CTでの臍部における白線幅に注目し,白線幅/腹直筋幅を計測し,IH発生との関連性を検討した.なお,開腹法は,いずれも臍をopen methodで切開し,創部に70mmのラッププロテクターを使用していた.閉腹は腹膜・筋膜を0号合成吸収性ブレイド糸で単結節縫合後,真皮を3-0合成吸収性ブレイド糸で埋没縫合していた.【結果】IHは11例(LC9例,LA2例)で発生した.男性4例女性7例,平均年齢72.1±10.2歳,発生時期は術後286±150日であった.このうち,6例(LC4例,LA2例)で手術によるIH修復術を行っており,男性3例女性3例,平均年齢71±7歳,発生時期は術後214±102日であった.IH発生は,単変量解析でBMI≧25(p=0.014),心疾患合併例(p=0.031)で有意に発生率が高かった.さらに,白線幅については,白線幅/腹直筋幅≧10%で有意にIH発生率が高い結果(p=0.018)となった.これらを多変量解析すると,白線幅/腹直筋幅≧10%が独立したリスク因子であった.(p=0.035)【結論】肥満や心疾患合併例では,IH発生のリスクが高く,術前にそれらを改善することでIH発生を減少できる可能性がある.さらに,白線はCTで簡単に計測することができ,術前にIH発生のリスクを評価する上で,有用な指標であるといえる.白線幅/腹直筋幅≧10%であった場合,IH発生のリスクが高いと考え,慎重な閉腹を行う必要がある.今回,IH防止のために,どの縫合糸で,どのような縫合法を行うべきかを検討しておらず,IH発生を減少させる閉腹法については,今後検討していく必要がある.
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